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運送業と配送業の違いとは?仕事内容・宅配業との違いも解説

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エラメク編集部

2025年5月14日 17:02

運送業と配送業はどちらも「荷物を運ぶ仕事」ですが、目的や仕事内容、必要な許可などに明確な違いがあります。本記事では、運送業・配送業の定義や業務内容、運輸業や宅配業との違いを解説します。未経験者や運送業・配送業でのキャリア形成を検討中の人は、ぜひ参考にしてください。

運送業とは

運送業は他社の荷物を運賃をもらって運ぶ事業です。国から許可を得て営業する必要があります。

主な仕事内容

運送業の主な仕事は、企業や個人から依頼された荷物を目的地まで輸送することです。トラックなどの車両を使用して長距離輸送を行うケースが多く、大量の貨物を一度に運びます。荷物の集荷、積込み、運搬、荷下ろしといった一連の作業も担当します。また、配送計画の立案や最適なルート選定、荷物の管理なども重要な業務です。

運送業を営む企業や個人事業主の特徴

運送業を営むには運輸局への申請と国からの許可取得が必須です。また、運送業を営む企業や個人事業主は、トラックの種類や積載量に応じた運転免許(中型、大型など)を持つドライバーを雇用しています。多くの運送会社は自社の車両を保有し、定期的な整備や管理を行っています。また、物流センターや倉庫を持ち、荷物の一時保管も行う企業も存在します。長距離輸送が多いため、ドライバーの労働時間管理や安全運転教育に力を入れている点も特徴です。

参考:国土交通省 東北運輸局

配送業とは

配送業は自社の荷物を運ぶ事業で、比較的近距離・小口配送が中心です。運賃が発生しないため、特別な許可は必要ありません

主な仕事内容

配送業では、自社製品や商品を小売店や顧客に届ける業務を行います。主に近距離での小口配送が中心で、決まったルートを巡回するケースが多いです。商品の積み込みから配達、伝票処理までを一貫して担当します。また、配達先での商品説明や設置、場合によっては集金業務も行うことがあります。自社製品を扱うため、商品知識も必要とされる仕事です。

配送業の活躍シーン

配送業は製造業や小売業など自社製品を持つ企業で活躍しています。食品メーカーが自社製品をスーパーに配送したり、家具店が購入商品を顧客宅へ届けたりするケースが典型例です。また、企業内での部品や資材の移動、グループ会社間の商品輸送なども配送業が活躍します。地域密着型の企業では、顧客との関係構築の重要な接点となっています。定期的な配送ルートを持つことで、効率的な物流体制を構築できる点もメリットです。

運送業と配送業の違い

運送業と配送業は荷物を運ぶという点では似ていますが、目的や法的位置づけなど多くの点で異なります。

運送業

配送業

荷物の所有

他社の荷物

自社の荷物

運賃

発生する

発生しない

許可

必要

不要

距離

長距離中心

近距離中心

規模

大量輸送

小口配送

目的の違い

運送業の目的は、他社や個人の荷物を運賃を得て輸送することです。つまり、運送そのものがビジネスであり、サービスとして荷物の輸送を提供します。

一方、配送業の目的は自社の製品やサービスを顧客に届けることです。配送はあくまで自社ビジネスの一部であり、運賃を得るためではなく、自社製品の流通を円滑にするために行われます。この目的の違いが両者の最も根本的な相違点です。

運ぶ荷物の種類や規模の違い

運送業では多種多様な荷物を扱い、一度に大量の貨物を輸送することが多いです。企業間の原材料や製品の大量輸送、引っ越し荷物など、幅広い種類と規模の荷物を取り扱っています。

対して配送業は自社製品に限定され、比較的小口の荷物を扱うケースが中心です。たとえば、製造した商品を小売店に配送したり、オンラインで購入された商品を顧客に届けたりするなど、規模は小さめですが頻度の高い配送が特徴です。

運ぶ距離の違い

運送業は主に長距離輸送を担当し、都道府県をまたぐような広域での輸送が多いです。物流の大動脈として機能し、全国規模での物資の移動を支えています。

一方、配送業は比較的近距離での配送が中心です。特定の地域内や市町村内での配送が多く、決まったルートを巡回するケースも多いでしょう。この距離の違いは、使用する車両の種類や必要な運転免許、ドライバーの労働環境にも影響します。

許可や法的区分の違い

運送業を営むには貨物自動車運送事業法に基づく許可が必要です。運輸局への申請と国からの許可取得が義務付けられており、安全基準や事業計画の審査があります。

これに対し、配送業は自社の荷物を運ぶため特別な許可は不要です。ただし、グループ会社など別会社の荷物を運んで運賃が発生する場合は、運送業の許可が必要になります。この法的区分の違いは、事業を始める際のハードルや運営コストにも大きく影響します。

運輸業や宅配業との違い

運輸業は運送業よりも広い概念で、人やモノの輸送に関わるすべての業種を含みます。

宅配業とは

宅配業は個人の家庭に荷物を直接届けるサービスです。主に小型から中型の荷物を扱い、配達先が個人宅であることが特徴です。宅配ドライバーは担当エリアが決まっており、そのエリア内で配達業務を行います。

荷物の受け取りから配達、不在時の対応まで一貫して担当し、顧客との直接的なコミュニケーションも重要な業務です。配送業が自社製品を運ぶのに対し、宅配業は他社や個人の荷物を運ぶ点で運送業に分類されます。また、運輸業は鉄道や航空機、船舶なども含む広い概念で、人の移動も対象とする点で宅配業とは異なります。

運送業・配送業・宅配業で転職や就職に迷った際の確認点

これらの業種への転職や就職を検討する際は、自分に合った職場を見つけるために複数の観点から比較することが大切です。業務内容や働き方に大きな違いがあります。

必要な資格や運転する車種

運送業では扱う車両によって必要な免許が異なります。大型トラックには大型免許、中型トラックには中型免許が必要です。また、危険物を運ぶ場合は危険物取扱者の資格も求められることがあります。

配送業では小型から中型の車両が中心で、準中型免許や普通免許で運転できる車両も多いです。宅配業では軽自動車や小型トラックが主流で、普通免許があれば始められるケースが多いです。転職前に自分が持っている免許で運転できる車両か、会社が免許取得をサポートしてくれるかを確認しましょう。

取り扱う荷物の種類

運送業では多種多様な荷物を扱い、重量物や大型荷物も多いです。業界によっては特殊な荷物(危険物、冷凍品など)を扱うこともあります。配送業は自社製品に限定されるため、取り扱う荷物の種類は比較的限られています。宅配業では、小型から中型の荷物が中心で、個人宅に届けるため様々な種類の荷物を扱います。

自分の体力や適性に合った荷物を扱える業種を選ぶことが、長く働き続けるためのポイントです。荷物の積み下ろしの頻度や重量も確認しておくとよいでしょう。

企業規模や労働環境

運送業は大手から中小企業まで様々な規模の会社があります。長距離輸送が多いため、泊まりの仕事や不規則な勤務形態もあります。配送業は製造業や小売業に付随するため、親会社の規模や業種によって労働環境が大きく異なります。宅配業は大手宅配会社が多く、比較的安定した雇用条件の会社が多いです。

どの業種も人手不足が深刻で、労働環境の改善が進んでいます。転職前に勤務時間や休日、福利厚生などをしっかり確認し、自分のライフスタイルに合った職場を選びましょう。

運送業や配送業のよくある質問

運送業や配送業への就職・転職を検討する方から多く寄せられる質問にお答えします。

未経験でも運送業・配送業で働けますか?

未経験でも運送業や配送業で働くことは十分可能です。多くの場合、入社後に先輩ドライバーとの同乗研修から始まり、徐々に一人で業務を担当します。また、必要な免許の取得をサポートしてくれる会社も少なくありません。

ただし、大型車両の運転には、慣れが必要なため、最初は小型車両から始めるケースが多いです。安全運転への意識と学ぶ姿勢があれば、未経験からでもキャリアを築くことができます。

女性やシニアでも活躍できる仕事ですか?

女性やシニアの方も運送業や配送業で活躍できる環境が整ってきています。特に近年は業界の多様化が進み、女性ドライバーやシニアドライバーの採用に積極的な企業が増えています。女性向けには荷物の積み下ろしが少ない業務や力仕事の負担が軽減される機器の導入などの配慮がされています。シニアの方には経験を活かした安全運転や短時間勤務など柔軟な働き方ができる企業も存在します。

さらに、運転支援システムの導入や職場環境の改善により、多様な人材が長く活躍できる業界へと変わりつつあります。

どのようなキャリアアップや将来性がありますか?

運送業や配送業では、経験を積むことでさまざまなキャリアが開けます。まずはドライバーとしての技術を磨き、大型免許など上位の資格を取得することでできる仕事の幅が広がります。経験を積むと配車係や運行管理者などの管理職へのキャリアアップも可能です。

また、独立して個人事業主になるケースもあります。物流は社会の基盤を支える重要な産業であり、eコマースの拡大に伴い需要は今後も安定して見込まれます。自動運転技術の発展など業界の変化はありますが、人の判断や対応が必要な場面は依然として多く、将来性のある職種といえます。

収入や給料の相場はどれくらいですか?

運送業や配送業の収入は、勤務形態や扱う車両、経験によって大きく異なります。長距離トラックドライバーは月収30万円前後が相場ですが、残業や泊まりの仕事が多いケースもあります。

近距離配送や宅配ドライバーは月収25万円前後が一般的です。経験を積んで大型免許を取得すると、収入アップが見込めます。また、個人事業主として独立すると、より高収入を得られる可能性もありますが、車両の維持費などの経費も自己負担になります。業界全体として人手不足のため、給与水準は徐々に上昇傾向にあります。

労働時間や休日はどのようになっていますか?

運送業や配送業の労働時間は業態によって異なります。長距離輸送では不規則な勤務形態や泊まりの仕事もありますが、労働時間の規制が厳格化され、以前より改善されています。

近距離配送や宅配業では比較的規則的な勤務形態が多く、日勤のみの仕事も増えています。休日は会社によって異なりますが、週休二日制を導入する企業が増えています。繁忙期には休日出勤が必要な場合もありますが、労働環境の改善が業界全体で進んでいます。転職前に、具体的な勤務シフトや休日体制を確認することをおすすめします。

運送業と配送業の違いを把握してキャリアを検討しよう

運送業と配送業は、運ぶ荷物や距離、法的な区分などで大きく異なります。自分に合った働き方や将来性を見極めるためにも、それぞれの特徴や業界の違いをしっかり理解しておくことが大切です。業界の基礎知識を押さえ、キャリア選択や転職活動に役立てましょう。

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