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物流業界の人手不足が深刻に?原因と改善のためのポイントを紹介

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エラメク編集部

2025年6月24日 11:33

物流業界は私たちの生活や経済活動を支える重要な存在ですが、近年深刻な人手不足に直面しています。特に、トラックドライバー不足が効率や持続性に影響を与え、高齢化や若者離れ、「2024年問題」も拍車をかける要因です。

本記事では、物流業界が人手不足になっている原因や実際に起こることで引き起こす影響について解説。人手不足を改善するためのポイントも紹介するので、物流業界に関心のある方はぜひご覧ください。

物流業界の仕事が増加している原因

物流業務は、近年インターネット通販の普及により、需要が飛躍的に増えています。特に、コロナ禍以降、オンラインを利用したショッピングを主流とする消費者も多く、日々取り扱う荷物の量は年々増加傾向です。このような状況によって、物流現場の人手不足はより深刻化していると言えます。

データで見る人手不足の現状

物流業界では、慢性的な人手不足が続いています。国土交通省のデータによると、トラックドライバーの平均年齢は48歳を超えており、若年層の就業率が低下傾向(※)です。

また、定年退職による人材流出が進んでおり、ベテラン社員の離職と若手不足という両面に見舞われています。こうした状況では、輸送体制を維持するだけでも多大な負担が生じており、安定した物流網の確保が困難になりつつあります。

(※)参照:国土交通省トラック運送業の現況について

働き方改革「2024年問題」との関係性

2024年4月より、トラックドライバーの時間外労働が年960時間に制限されました。そのため、従来のように長時間勤務で業務量をこなす働き方ができなくなり、現場では新たな人材確保が不可欠となっています。

すでに人員が不足している業界では、この制度変更がさらなる業務逼迫を招く可能性があり、「物流の2024年問題」として大きな関心を集めています。制度の目的は過労防止と健康維持ですが、物流業務への影響は無視できないものと言えるでしょう。

物流業界にまつわる人手不足で困る3つのこと

物流業界の人手不足は、現場だけでなく私たちの生活全体に広く影響を与えています。特に顕著な3つの問題点として以下のような点が挙げられます。それぞれを詳しくみていきましょう。

  1. 配送サービスの品質低下
  2. 従業員の負担が大きくなる
  3. モノの値段にも影響がある

1. 配送サービスの品質低下

人手不足の影響で、配送スケジュールの遅延や再配達の件数が増加しています。時間指定に対応できないケースも多くなり、これまで築いてきた顧客との信頼関係に悪影響を及ぼす事例も増えています。

特に、繁忙期や天候不良時には人員の余裕がなく、荷物の滞留や誤配送といったトラブルが発生しやすくなっているのも人手不足による影響の一つです。迅速で確実な配送が求められる中で、品質の維持が難しくなっているのが現状です。

2. 従業員の負担が大きくなる

人手不足の状態が続くことで、現場の従業員一人ひとりの負担が増大しています。トラックドライバーや倉庫スタッフは、長時間勤務や休憩の確保が難しい状況に置かれることが多く、体力的にも精神的にも大きなストレスを抱えがちです。

その結果、離職や休職に至る人が増え、さらに人手が足りなくなるという悪循環に陥っています。従業員の健康と安全を守る仕組みづくりが必要です。

3. モノの値段にも影響がある

人件費や燃料費、外注費の増加によって物流コストが上昇しています。これまで企業が吸収してきたコストは限界に達しており、最終的には製品価格への転嫁が避けられない状況です。

生活必需品や食品など、日々の暮らしに直結する商品にも影響が及び、消費者への負担が増加傾向です。さらに、物価上昇により購買行動が変化し、経済全体への波及も懸念されます。

物流業界が人手不足を改善する4つのポイント

物流業界の人手不足を解消するには、現場レベルの改善から業界全体の連携まで、多角的な取り組みが求められます。中でも重要な改善ポイントは以下の 4つです。具体的な改善点をみていきましょう。

  1. 働きやすい職場づくりをする
  2. テクノロジーで物流を効率化する
  3. 外国人スタッフの力を借りる
  4. 企業同士で助け合う

①働きやすい職場づくりをする

人手不足を解消するには、まず働きやすい職場環境を整えることが重要です。具体例としては、休日や労働時間の見直し、福利厚生の充実、明確な評価制度の導入などが挙げられます。

過酷な勤務環境が敬遠されがちな物流業界では、働き方の柔軟性を高めることで定着率の向上が見込まれます。これにより、若年層や女性の就労が促され、安定した人材の確保へとつながるでしょう。

②テクノロジーで物流を効率化する

人手不足の中でも業務を維持するためには、業務の効率化が不可欠です。AIによる配送ルートの最適化や自動仕分けシステム、トラックの動態管理など、テクノロジーの導入が進んでいます。

これらの技術は人的ミスを減らすだけでなく、作業時間の短縮にも寄与します。特に中小企業にとっては、省人化による競争力の強化にもつながる重要な対策です。

③外国人スタッフの力を借りる

外国人労働者の受け入れも、人材確保の新たな選択肢として注目されています。特定技能制度の活用や、研修制度の整備によって即戦力として活躍できる環境を整える企業が増えています。

文化や言語の壁はあるものの、適切なサポート体制があれば、長期的な人材確保につながる可能性が高いです。多様な人材の活用は、組織の活性化にも寄与します。

④企業同士で助け合う

人手不足への対応には、企業間の連携による効率化も重要な手段です。共同配送や倉庫の共有、車両の融通など、業務の一部を他社と協力すると、無駄を減らし業務負荷を軽減できます。

競争から共創へと視点を変えることで、業界全体の持続性が高まると期待されています。とくに中小事業者にとっては、こうした取り組みが生き残りの鍵となるでしょう。

働き方改革だけじゃない!国が行う支援の拡充

政府は物流業界の人手不足に対し、働き方改革の推進だけでなく、多角的な支援策も講じています。例えば、IT導入補助金や業務効率化を支援する制度、トラックドライバーの採用・教育に関する助成金が整備されつつあります。

さらに、業界全体の生産性向上やデジタル化を支援する政策も拡充され、特に中小企業にとっては大きな後押しとなるでしょう。これらの施策をうまく活用することで、安定した人材確保や持続可能な運営体制の確立が期待されます。

女性やシニアが働きやすい環境も広がっている

多様な人材の活用も、国が重点を置く支援の一つです。特に女性やシニア層にとって働きやすい職場づくりを後押しするため、短時間勤務制度や柔軟なシフトの導入を支援する助成金、研修制度などが整備されています。

例えば、厚生労働省の「両立支援助成金」や「高年齢者雇用安定助成金」は、職場の多様性確保に貢献しています。こうした制度の活用が進めば、物流業界の雇用の裾野はさらに広がり、長期的な人手不足の解消にもつながるでしょう。

物流業界で働きたい人が知っておきたい魅力

人手不足が問題視されている一方で、物流業界には安定性や成長性など多くの魅力があります。業界への就職や転職を検討している方にとって、知っておきたいポイントを紹介します。

安定した需要がある

物流業界は、景気の影響を受けにくく、常に一定の需要がある安定した分野です。インターネット通販や高齢化による宅配需要の増加により、今後も市場は拡大すると見込まれています。

そのため、職を失うリスクが比較的低く、長期的に安心して働ける職場環境が整っているのも大きな魅力です。安定を求める就職・転職希望者にとって、非常に注目すべき業界と言えるでしょう。

未経験から始められる

物流業界の多くの職種は、未経験からでもスタートしやすいのが特長です。現場作業やピッキング、仕分け、運転業務など、入社後に必要な知識やスキルを学べる研修制度やOJT(現場指導)が充実しています。

さらに、企業によってはチーム制を導入しており、ベテラン社員が新入社員をサポートする体制が整っているところも少なくありません。体力を使う場面もありますが、性別や年齢を問わず活躍できる職種も多く、第二のキャリアとして選ぶ人も増えています。

資格を取るとステップアップにつながる

物流業界では、キャリアアップに直結する資格が多数あります。例えば、フォークリフト運転技能講習や運行管理者資格、中型・大型自動車免許など、現場で役立つ資格が豊富です。

資格を取得すれば業務の幅が広がるだけでなく、給与アップや正社員登用、管理職への昇格といったチャンスも得られます。企業によっては、資格取得費用を補助する制度も整っており、スキルアップを目指す意欲ある人材にとってよい環境と言えます。

働き方の幅が広い

物流業界は24時間体制の現場も多いため、働き方に柔軟性があるのも大きな特徴です。日勤や夜勤を選べるほか、短時間勤務や週3日勤務、パート・アルバイトといった多様な雇用形態が存在します。

これにより、子育て中の方や副業希望者、高齢者など、さまざまなライフスタイルに合わせた働き方が実現可能です。また、勤務地も全国各地に広がっているため、地元で働きたい人にとっても選択肢が豊富です。

人手不足解消で物流業界の未来を明るくしよう!

物流業界の人手不足は、サービス品質の低下やコスト増加など社会全体に影響を及ぼす深刻な課題です。企業の対策や国の支援が進む中、持続可能な物流の実現には、テクノロジー活用と多様な人材の受け入れが鍵となります。

物流業界は、安定した需要やキャリアアップなど人気の高い要素が多い業種です。人手不足を解消し、働きやすい環境を目指しましょう。

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