運送業の仕事内容を職種別で解説!向いている人やおすすめの資格も紹介

エラメク編集部
2025年5月13日 11:06
運送業といえば、トラックドライバーのイメージが強いですが、実はそれだけではありません。運送業にはトラックドライバー以外にも、さまざまな職種や仕事内容があります。本記事では、運送業の仕事内容と、気になるポイントを幅広くご紹介します。
運送業の仕事内容は?

運送業とは、荷物や商品を安全かつスムーズに目的地へ届ける仕事です。単に運ぶだけではなく、荷物の管理、手配、顧客対応、事務処理まで幅広い業務が求められます。運送業は、個人から企業まで多くの人の生活やビジネスを支える重要なインフラの一部です。近年では、ネット通販市場の拡大や、ライフスタイルの多様化により、物流の重要性はますます高まり、業界全体が注目を集めています。
運送業の主な仕事内容

トラックドライバー
トラックドライバーは、小型・中型・大型トラックを運転し、荷物を目的地まで安全かつ時間通りに届けるのが大きな役割です。ルート配送、宅配便、大型輸送など、運ぶ荷物やエリアによって仕事内容が大きく異なるほか、集荷・荷積み・荷下ろし・梱包など、配送前後の準備も重要な仕事です。
顧客や企業に対してセールスする場合もあるため、荷物の受け渡しや接客態度など基本的なマナーも必要です。
倉庫作業員
倉庫作業員は、物流の「中継地点」とも言える倉庫内で、荷物の仕分けや積み込み、検品、梱包などを担当します。取り扱う商品や作業内容が多岐にわたり、作業は基本的にチームで進めます。スピードと正確さに加え、チームワークを重視するためコミュニケーション能力も求められます。
フォークリフトなどの重機を操作して配送前後の準備を行う機会が多いため、「フォークリフト運転技能者」の資格を持っていると、採用時に有利になることがあり、現場でも即戦力として活躍できます。
運行管理者
運行管理者は、ドライバーが荷物を予定通り届けられるように、勤務スケジュールや運行計画の管理を行う職種です。また、車両の整備状況についても把握し、安全運行のために必要な管理業務を担います。運送の安全確保と納期遵守のために、運行ルートやスケジュールの見直しを行ったり、ドライバーの労務状況を管理し、無理のない勤務体制を整えることも重要な役割です。
国土交通省が認定する「運行管理者資格(貨物)」の取得が必要で、一定台数以上の車両を保有する運送事業者では、資格保有者の選任が義務付けられています。
顧客対応
顧客対応担当は、配送センターにて電話や来店するお客様に対して、配送に関する問い合わせ対応、納品後のフォローアップを担当します。お客様に直接対応する機会が多いため、顧客と社内の橋渡し的な存在であり、運送サービスの信頼性を支える重要な役割です。
業務内容には、電話やメールでのやり取り、専用システムの操作、顧客との丁寧なコミュニケーションなど、柔軟な対応力と問題解決力が必要です。
新規営業
新規営業は、自社の物流サービスを荷主企業に提案し、新たな取引先の開拓をする仕事です。物流に関する基礎知識、市場動向の調査、クライアントに対しての提案力など、対人スキルやコミュニケーション能力が求められます。また、すでに取引のある企業に対して、サービス改善の提案や追加契約の交渉を行う「ルート営業」も重要な業務の一つです。
事務
事務の主な業務は、顧客の荷物を正確に届けるため、配車管理、伝票作成、請求書の発行など、ドライバーをサポートする運送業を裏方で支える重要な役割を担います。パソコンでの作業が多いため、基本的なパソコンスキルが必要です。未経験でも始めやすい職種ですが、社内のさまざまな部署と連携しながら、円滑な業務進行を支えるように、柔軟な対応を求められます。
トラックドライバーの職種別

大型トラックドライバー
10トントラック等の大型車両を運転し、300〜500kmの長距離配送や大量輸送を担当します。配送ルートは深夜や早朝になることも多いため、車中で泊まる場合もあります。高度な運転技術に加えて、体力や集中力も求められます。
中型・小型トラックドライバー
小型トラックは2〜3トンのトラックを操作し、主に市内や県内などの比較的近距離でのルート配送を担当します。小型トラックは小回りが利くため住宅街や個人宅への配送が多く、中型トラックはスーパーやドラッグストアなど、比較的大きな荷物や施設への配送が中心です。ルートや時間が決まっているため、生活リズムが整いやすく、家庭と両立しやすい職種です。
軽貨物ドライバー
軽バンや軽トラックなどの軽自動車を扱い、小口配送を担当します。荷物は比較的小さく軽量のため、女性や高齢者など力に自信がない人におすすめです。個人事業主としてフリーランスで働くケースが多く、自分の裁量で働けるのが特徴です。
宅配ドライバー
軽貨物ドライバーと似ている点がありますが、宅配便やネット通販商品を個人宅へ届ける職種です。個人宅への配送が多いため、お客様のニーズに応える柔軟で細やかな対応が求められます。都市部では、荷物の件数が非常に多くなる傾向があり、効率的なルート設計に加え、体力とコミュニケーション能力の両方が必要です。リピーターや地域住民との信頼関係も重要になります。
運送業の職種の種類

陸運
陸運は自動車・鉄道・バイクなど、陸上を輸送する、日本では最も主流な方法です。鉄道は電車や新幹線を使い、顧客や貨物を運び、二酸化炭素の排出が最も少なく環境に優しいエコな運搬です。自動車の場合は、主にトラックや大型トレーラーを運転しますが、ネット通販が増えたことでバスやタクシーなどもあります。都心では、バイク便の需要も多く急ぎで配達をする場合によく活用されます。
海運
海運とは、コンテナ船や大型タンカーなどの船舶を使って海上を輸送する方法です。大量の荷物を運べるため、国際貿易においてコストパフォーマンスの高い輸送方法です。海上運送業で代表的な「日本郵船」「商船三井」「川崎汽船」などが代表的であり、日本の物流を長年支えています。
空運
航空機を利用し、スピーディーに荷物を届ける輸送方法です。国内外に輸送するのに欠かせない運搬方法で、鮮度やスピードが求められる荷物に適しており、国際小口配送でも重要な役割を果たしています。貨物専門の航空会社「NCA(日本貨物航空)」があります。
運送業が注目される背景

ネット通販市場の拡大や、ライフスタイルの多様化により、配送ニーズは年々増加しており、それに伴ってドライバー不足も深刻化しています。そのため、運送業界は今、社会的にも大きな注目を集めています。
運送業に向いている人

運転技術がある人
大型車両を安全に運転するため、運転技術が優れている人が適しています。少しのミスが大きな事故につながるため、安全運転の技術は大きな強みです。
時間に正確な人
運送業は限られた時間に正確に荷物を運ぶ必要があります。わずかな遅れが次の予定に影響するため、時間厳守を徹底できる人が向いています。
地理に強い・ナビ操作が得意な人
毎日異なるルートを走る可能性がある中、時間通りに運行する必要があります。思わぬ事故やトラブルなどで、渋滞や迂回が必要になる場合もあるため、地理やナビ操作が得意な人が向いています。
運送業におすすめの資格

運転免許(必須)
運転免許は、運送業にはなくてはならない資格の一つです。業務に必要な車両に応じて、普通免許・中型免許・大型免許などが必須となり、資格の種類が多いほど業務の幅が広がります。ドライバーだけでなく営業職でも使う機会があるため、運送業で働く場合は必須の資格です。
フォークリフト運転技能者
倉庫作業や荷物の積み下ろし時に重宝される資格です。運送業では頻繁に荷物の積み下ろし作業が発生するため、資格を持っていることで業務の幅が広がります。資格の取得がしやすくニーズが高いため、取得しておきたい資格の一つです。
自動車整備士
自動車整備士は、車両トラブル時に点検、修理、分解、組立などの簡単なメンテナンスを行える専門職です。運行中の車両トラブルに対応できる資格のため、将来的に整備士や管理者を目指す際には役立ちます。
運送業でよくある質問

未経験でも働けるのか?
運送業は、少子高齢化の影響を受けて慢性的な人手不足のため、未経験者を歓迎する求人も多く見られます。特に、20代・30代は将来性や吸収力の高さが評価され、採用されやすい傾向にあります。入社後に丁寧な研修が用意されている企業が多いため、未経験でも働ける可能性は高いと言えます。
キャリアアップはできるのか?
ドライバー、倉庫作業員、運行管理者など幅広い職種があるため、経験を積めば、他の職種や管理職などへのキャリアアップも可能です。
運送業は女性も活躍できるのか?
近年では少子高齢化の影響を受けているため、女性ドライバーの採用を積極的に行っている企業が増えています。女性比率はまだ低いですが、働き方改革を掲げる企業も多く、育児休業や時短制度などにより働きやすい環境整備が進められています。
女性ドライバーの仕事内容は?
女性ドライバーの仕事内容も基本的には同じです。ただ、家族の都合などを考慮し、宅配便や企業間配送を中心に活躍している人が多いです。コミュニケーション能力やきめ細やかな対応力が評価され、女性ならではの丁寧なサービス提供が強みとなっています。
国交省が進める「トラガール促進プロジェクト」
女性ドライバーの増加を目指して、国土交通省が「トラガール促進プロジェクト」を2014年にスタートした取り組みです。「トラガール(トラックに乗るガール)」とは、運送業界全体のイメージを改善するとともに、女性が働きやすい環境づくりを進めることを目的としています。
運送業の仕事内容を理解して、自分に合ったキャリアを築こう

運送業の仕事内容は、トラックで配送というイメージが強いかもしれませんが、実際には、運行管理や倉庫作業など、さまざまな役割を担う人たちによって支えられています。多様な働き方ができる運送業界。自分に合った職種を見つけ、資格を取得することで、さらに広がるキャリアの可能性を目指せるでしょう。