運輸業と運送業の違いとは?主な仕事内容や目的について詳しく解説!

エラメク編集部
2025年6月24日 11:33
運輸業と運送業は似ている点が多い業種です。しかし、定義や仕事内容については異なる点が数多くあります。本記事では、運輸業と運送業の違いについて詳しく解説します。運輸業や運送業への就職・転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
運輸業とは?

運輸業とは、人や物をある地点から別の地点へ移動させる業種全般を指します。陸・海・空のあらゆる輸送手段が含まれ、公共交通機関や貨物輸送、旅客運送などの仕事に分類されます。国や自治体との関わりが強く、インフラとして社会に欠かせない役割を担っているのが大きな特徴です。
主な仕事内容
運輸業における仕事は多岐にわたります。鉄道やバス、航空機などの旅客輸送、さらには船舶やトラックによる大規模な貨物輸送なども運輸業に該当します。また、スケジュールに基づいて運行管理を行ったり、安全確保のための点検・整備などを行ったりするのも運輸業の仕事の1つです。
仕事を行う目的
運輸業の主な目的は、人々の移動や物流を支えて、社会全体の経済活動を円滑にすることです。通勤や通学、旅行といった日常生活に欠かせない移動から、災害時の物資輸送まで行うのが運輸業であり、社会を構成する上で欠かせない業種といえるでしょう。
仕事の範囲
運輸業は「陸・海・空」の全領域をカバーしています。鉄道、バス、タクシー、船舶、航空機などが対象で、旅客と貨物の両方を扱います。旅客と貨物では同じ運輸業でも性質が大きく異なるため、仕事の範囲は幅広いといえるでしょう。
関連している法律
運輸業は国土交通省によって管理されている側面が強く、主に「道路運送法」「鉄道事業法」「航空法」「海上運送法」などの法律などが関係します。安全基準や運行体制、料金体系まで細かく定められているため、運輸業で働く場合は法律を正しく理解することが欠かせません。
運送業とは?

運送業は物をある地点から別の場所に運搬する業種を指します。運輸業と同じく、人の輸送も運送業に含まれるという考え方もあります。しかし、一般的に運送業は物の輸送を指すケースが多く、人の輸送は含まれません。
主な仕事内容
運送業の中心的な業務は、荷物を安全かつ迅速に届けることです。荷物の積み下ろし、運転、配達、集荷などの作業はもちろんですが、指定された時間に配達すること、追跡サービスに対応することなども、重要な業務の一部となっています。
仕事を行う目的
運送業の目的は、企業や個人の荷物を正確に届けることです。運送業は消費者に直接荷物を届けることが多く、物流における最前線の仕事ともいえます。運輸業と同じく、物流というインフラを整えるためには欠かせない仕事です。
仕事の範囲
運送業の範囲は、主に陸上での輸送に限定されます。トラック、バン、バイクなどを使った近距離・中距離輸送が中心となっており、公道を使用して輸送を行います。そのため、取り扱う荷物も限定されており、特定の荷物の配送に特化しているケースが多いです。
関連している法律
運送業は「貨物自動車運送事業法」が大きく関係しています。事業開始には運輸支局からの許認可を受けなければいけません。また、労働時間や安全運転の義務など、運転者に対する法的な規制も数多くあります。
運輸業と運送業の違い

運輸業と運送業はそもそもの定義が大きく違います。物流に関係している業種という点では同じですが、異なる点も数多くあります。ここでは、運輸業と運送業の違いについて詳しく説明するので、ぜひチェックしてみてください。また、運輸業と運送業の違いについて表で
わかりやすく紹介します。
運輸業 | 運送業 | |
公共性の有無 | 公共性は高い | 公共性は高くない |
該当する法律 | 道路運送法 航空法 鉄道事業法 など | 貨物自動車運送事業法 道路運送車両法 など |
業務の範囲の広さ | 広い | 狭い |
国や自治体との関係性 | 強い | 弱い |
輸送手段の種類 | 多い | 少ない |
旅客輸送を含むか | 含む | 含まない |
公共性の有無
運輸業は、公共交通機関としての役割を担う場合が多く、インフラの一部と見なされます。例えば、鉄道会社や航空会社は、不特定多数の人々が利用することを前提としており、公共性が高いです。一方で、運送業は主に荷主との契約に基づいて荷物を運ぶ業務であり、公共性はそれほど高くないといえるでしょう。
該当する法律
運輸業は「道路運送法」「航空法」「鉄道事業法」など、利用者の保護や運行管理に関する複数の法律が関わっています。一方で運送業は、「貨物自動車運送事業法」や「道路運送車両法」などが適用され、荷物の取扱いや安全運転に関するルールが定められています。
業務の範囲の広さ
運輸業は「人の移動」も含まれるため、鉄道・バス・航空・海運など、業務の範囲は幅広いです。一方で、運送業は「貨物の移動」に限定され、対象が物に限られます。そのため、業務範囲の点では運輸業のほうが広いといえるでしょう。
国や自治体との関係性
運輸業はインフラ整備や地域公共交通の維持など、国や自治体との連携が求められる場面が多いです。そのため、補助金制度を活用できたり、政策支援が受けれたりすることもあります。一方で、運送業は基本的に民間企業によって運営されているケースが多く、国や自治体との関係性はそれほど強くありません。
輸送手段の種類
運輸業では陸・海・空全ての輸送手段が該当しますが、運送業は、トラック・バンなどの車両を用いた陸上輸送が主体です。そのため、運輸業の方が輸送手段の幅は広いといえるでしょう。
旅客輸送を含むかどうか
運輸業は「人と物の両方を運ぶ」のに対し、運送業は「物のみを運ぶ」業種です。そのため、バスや鉄道、航空といった旅客事業は運輸業に含まれますが、宅配業や引っ越し業者などは運送業に分類されます。
物流と運輸業・運送業の違い

物流とは、単に「物を運ぶこと」だけでなく、調達・保管・梱包・流通加工・出荷・配送など、商品が消費者に届くまでの一連の流れを包括的に指します。一方で、運輸業や運送業はその中の輸送のみを行う業種です。そのため、物流と運輸業や運送業はそもそもの定義が大きく違うといえるでしょう、
運輸業と運送業への転職で迷った場合の確認点

転職を検討する際には、運輸業と運送業の違いを理解した上で、自分のライフスタイルや考え方に合っている仕事を選ぶことが大切です。ここでは、運輸業と運送業の転職で迷った場合にチェックするべきポイントを紹介します。
キャリアアップできそうか
将来的に管理職や専門職を目指したい場合は、昇格制度や教育体制が整っているかを確認しましょう。運輸業は公共交通機関や大手物流インフラを担う企業が多いため、キャリアアップのための制度が充実している傾向にあります。運送業でも大手企業であれば、評価制度が整っているケースが多く、スキルアップのための研修が用意されている場合があります。
自分のライフスタイルに合っているか
運送業は長距離運転や夜勤が発生するケースも多く、人によってはつらいと感じることが多いかもしれません。体力に自信がある方や、残業代や深夜手当によって稼ぎたいと考えている方には向いているといえるでしょう。一方で、規則的な勤務時間で働きたい方や、家族との時間を重視したい方は、運輸業の方が適しているかもしれません。
必要な資格があるか
運送業では中型免許や大型免許が必要なことが多く、特殊な車両を扱う場合にはそれに応じた資格が必要です。運輸業の場合も、運行管理者や旅行業務取扱管理者などの資格が求められることがあります。保有している資格を活かして転職をしたいのであれば、それを活かせる環境かどうかを確認しましょう。
未経験からでも転職できるか
運送業は未経験者を受け入れている企業が多く、研修制度も整っています。運輸業も企業によりますが、未経験からスタートできる可能性はあります。しかし、運輸業の方が求められる資格やスキルが多く、未経験から転職を成功させるのは難しいかもしれません。
運輸業や運送業についてよくある質問

運輸業や運送業についてよくある質問をまとめました。それぞれの業種について興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
Q. 運輸業や運送業に転職する際の注意点は?
運輸業・運送業ともに、仕事内容が体力的・精神的にハードなケースがあります。勤務時間の不規則さや長距離移動によって疲弊するケースは少なくありません。そのため、自身で体調管理を徹底して行う必要があります。
Q. 運輸業や運送業がきついと言われている理由とは?
「時間に追われる」「長時間労働」「体力を消耗する」という点が、きついと感じる主な理由です。特に運送業では長距離運転や重い荷物の積み下ろしが日常的にあるため、きついと感じる方が多いです。
Q. 運輸業や運送業に将来性はありますか?
物流の需要は今後も高まると予測されており、どちらの業種にも一定の将来性があります。労働環境の改善も進みつつあり、賃金も見直されているため、これから転職する上でおすすめの業種といえるでしょう。
運輸業と運送業は定義や仕事内容などが大きく異なる

運輸業と運送業は定義や仕事内容、仕事を行う目的、関連している法律などが大きく異なります。公共性の有無や業務の範囲の広さなども異なるため、違いを理解した上でどちらに就職・転職するかを考えることが大切です。運輸業や運送業に就職・転職する際は、キャリアアップできるか、必要な資格はあるかなどを確認しましょう。