物流の仕事内容とは?物流業界で働くメリットや必要なスキルを紹介

エラメク編集部
2025年6月24日 11:33
物流の仕事と聞くと、トラックで荷物を運ぶ仕事だとイメージする人も多いのではないでしょうか。実際はトラックでの配送以外にも細かく仕事が分類されており、求められるスキルも異なります。本記事では、物流の仕事内容や働くメリット、物流業界に向いている人の特徴について解説します。
物流業界の主な仕事内容7選

物流業界における仕事内容について解説します。どのような仕事があるのか確認した上で、就職や転職を考えましょう。
1. 仕分け・検品
仕分けとは、物流センターや倉庫などに集められた荷物を配送先ごとに分ける作業で、種類や重さなどが異なる荷物を扱います。分け方や積み方にルールが設けられているケースが一般的となっており、担当者はルールに則って作業を進める必要があります。検品は荷物に不良がないかや数量に間違いがないかを確認する作業です。出荷前に検品を行うことで取引先や消費者からのクレームを未然に防ぐことができます。
2. 保管・在庫管理
保管・在庫管理は、倉庫内に保管されている荷物の在庫がどのくらいあるかを確認する作業です。出荷時に見つけやすいよう整理する場合もあります。また、定期的に棚卸しを行い、データ上の在庫と実際の在庫に間違いがないか確認を行います。
3. 受注管理・ピッキング
受注管理は、顧客から注文を受けて出荷に向けた準備を行う際に出荷指示書や納品書の作成を担当します。出荷に必要な書類を揃えた後は、倉庫から荷物を探して取り出す「ピッキング」を実施。ピッキングでは指示書に沿って荷物を運び出す作業や、複数の荷物を取り出した後に発送先ごとに分ける作業などがあります。
4. 流通加工
流通加工とは、物流会社が用意している倉庫で保管している荷物に値札の貼り付けやプレス加工など商品に施す加工作業です。食品やアパレルなど業種によって行われる流通加工も様々で、荷物によっては専門的な技術が求められるものもあります。
5. 梱包・包装
梱包や包装は、荷物を安全に届けるために緩衝材などを用いて段ボールに詰め込む作業のことです。配送先に届ける道中にトラックが衝撃を受けるケースもあるため、衝撃から守るためにこのような作業が行われます。企業によって梱包や包装作業だけでなく、伝票の添付やラベル貼りを担当する場合もあります。
6. 積み込み・発送
積み込み・発送は、出荷準備が整った荷物をトラックや船舶などに積み込んで発送先へ届ける作業です。積み込みの際はパレットに積まれた荷物をフォークリフトなどを用いて運ぶケースがほとんどです。国内の取引先に運ぶ場合はトラックを利用するケースが多く、日中や深夜問わず配送されていきます。
7. 物流事務
物流事務とは、物流会社内での事務作業を担当する仕事です。入庫リストや出荷リストを作成するほか、商品データの入力、ドライバー対応など担当する仕事は様々です。普段は事務作業がメインですが、繁忙期には倉庫内の業務の補助を行う場合もあります。
物流業界における5つの領域

物流業には5つの領域が設けられており、それぞれ異なる特徴を持っています。ここでは、各領域についてどのような役割を持っているのか解説します。
陸運
陸運とは、トラックやトレーラーなどの車両を用いた陸上輸送を指します。陸運の特徴としては日時指定配送や置き配など、配送先の都合に合わせて輸送しやすい点です。このような特徴は陸運ならではとなっており、細かいニーズに応えやすくなっています。一方で、車両の重量によって積載量が限られているほか、他の輸送手段よりも長距離輸送に適さないといったデメリットもあります。
空運
空運とは飛行機を利用した輸送手段で、長距離輸送に適している点がメリットです。そのため、劣化が早い生鮮食品を運ぶ際に用いられることが多いです。空運には荷主から輸送業務を委託する「フォワーダー」や、自社の航空機で輸送業務を担う「キャリア」など数種類の形態に分かれています。
海運
海運は船舶による海上輸送を指し、日本国内はもちろん海外への輸送にも用いられています。大型の船舶を使用するため車や重機のほか、原油などの重量物を運べる点が大きなメリットである一方、輸送に時間がかかるといったデメリットもあります。
鉄道
鉄道ではコンテナに積まれた荷物を貨物列車を用いて輸送します。大量の荷物を輸送できるほか、時間通りに輸送できるといった点が特徴です。陸運よりも輸送時間は長くなりますが、ドライバーの人手不足をカバーできることから鉄道の役割は大きいと言えるでしょう。
倉庫
倉庫は、倉庫内での商品の管理業務がメインとなっており、食品や日用品、家具家電など様々な商品を保管しています。また、輸送前の一時保管場所としての役割もあるほか、商品の検品や仕分けなどの業務を担うことも。現在は輸送や配送業務にも関わるようになっているなど、担当する業務の幅も広がっています。
物流の仕事で必要なスキル

物流業界は未経験の人でも働くことができますが、スキルを身につけておくとより活躍できる機会を得られるようになります。ここでは物流の仕事で役立つスキルを紹介します。
フォークリフトの運転
フォークリフトを使用した作業は物流の仕事では多く、資格を取得することで仕事の幅が広がります。フォークリフトの資格は「フォークリフト運転特別教育修了証明書」と「フォークリフト運転技能講習修了証」の2種類で、資格によって扱える積載量が異なります。学科講習と実技講習があり、それぞれの試験に合格することが免許取得の条件です。
トラックの運転
トラックの運転ができる人も物流業界で重宝されます。普通免許でもトラックを運転できますが、物流業界では大型トラックを使用するケースが多いため、大型免許を取得しておくと仕事に有利でしょう。
運行管理
運行管理は、ドライバーが日々トラックなどの車両を安全に運転できるよう、運行管理の資格を保有している人が車両管理や安全管理を担っています。車両の点検や台数確認のほか、ドライバーの健康状態を確認して運転の可否を判断しています。
管理運営
管理運営は、物流センターや倉庫にて商品の在庫や品質の管理、入出庫管理などを行います。商品の管理だけでなく倉庫内で働く従業員の管理も担当しており、安全に業務が行われているかチェックすることも管理運営の仕事です。リーダーシップや注意深く仕事ができるスキルが求められます。
操業改善
操業改善は、データを活用しながら業務の改善や見直しを行います。専門的な知識が求められるだけでなく、データの分析能力や交渉力、リスク管理能力なども重要な要素です。近年はロボットやAIを活用するなど省人化・コスト削減の動きも見られるようになっています。
物流業界で働くメリット

物流業界で働くメリットは様々です。物流業界ならではのメリットも多くなるので、詳しく確認していきましょう。
自分のペースで作業ができる
物流業界での仕事では、トラックへの荷物の積み込みや荷下ろし、仕分け、検品作業などがあり、コミュニケーションが苦手な人でも自分のペースで作業ができます。また、効率的な作業方法を構築できるようになると評価にもつながるでしょう。
仕事の安定性が高い
現在はECサイトをはじめとした通信販売やネットオークションが普及しており、物流業界の需要が上がっている状況です。そのため、仕事そのものがなくなるといった心配はほとんどなく、今後も安定して仕事が得られるといった状況は続くと考えられます。また、人手不足を補う手段としてロボットやAIの活用も広がっており、業務の効率化を図る動きは活発になるでしょう。
やりがいを感じながら働ける
物流業界の仕事は日常生活において不可欠なものとなっており、食料品や日用品、家電製品など様々な商品を毎日配送しています。社会的な影響も大きいことから働く上でのやりがいを感じやすく、責任感を持って仕事に取り組める業界と言えます。
シフトの融通が利きやすい
物流業界は正社員や契約社員、パート、アルバイトなど様々な雇用形態で働くことが多く、待遇も異なるケースがほとんどです。また、早朝や夜間など働く時間帯もバラバラなことも多いため、シフト制を敷いている企業もあります。シフト制の場合は繁忙期を除いてシフトの融通が利きやすいため、休みも取りやすいでしょう。
物流業界で働くデメリット

物流業界には様々なメリットがある一方、デメリットも存在します。メリットだけではなくデメリットについても詳しく解説します。
体力を使う仕事が多い
物流業界での仕事には、重い荷物を運ぶ作業や頻繁な移動など体力が必要な仕事が多くあります。そのため、体力に自信がない人にとっては重労働に感じやすいので、物流業界で働く際は、体力が求められる仕事でないか確認すると良いでしょう。
交通状況や天候による影響を受けやすい
トラックやトレーラーを使って配送する場合、交通状況や天候の影響を受けやすい点がデメリットです。特に、雨天時や雪が降っている中での配送は当初よりも配送時間が長くなり、予定時間に間に合わずにクレームが発生してしまうといったケースも考えられます。
時間に追われやすい
配送する荷物によっては到着日時が設定されているものもあり、物流会社は決められた時間に間に合うように配送することが求められます。特に企業への配送では到着時間が厳しく設定されている場合もあり、間に合わないと今後の取引に影響を与えかねません。そのため、常に時間に追われながらの仕事となり、ストレスを感じやすいでしょう。
物流業界での仕事に向いている人

未経験でも挑戦できる物流業界ですが、以下で紹介する点に該当する人にはメリットが多い業界と言えます。自分が物流業界に向いているか、以下の特徴を参考に考えてみましょう。
体力に自信のある人
先述した通り、物流業界では体力が求められる仕事が数多くあります。重い荷物を配送先ごとに仕分ける作業はもちろん、トラックでの長距離輸送も体力が必要です。そのため、1日中動き回っても問題ない人は物流業界の仕事に向いているでしょう。
丁寧に作業できる人
物流業界では様々な荷物を扱っており、中には精密機器や割れ物などもあります。雑に扱ってしまうと破損してしまう危険性もあり、クレームが発生することもあるでしょう。荷物を壊さないように扱う必要があるため、普段から物を丁寧に扱っている人は物流業界での仕事に適していると言えます。
柔軟に対応できる人
物流業界の仕事は同じ作業を繰り返すケースもありますが、中にはトラブル対応といった臨機応変な対応を求められる作業もあります。このような場合に慌てず柔軟に対応できる人も向いていると言えます。当初の予定とは異なる事態に見舞われることもあるため、冷静に判断できる人は重宝されるでしょう。
物流業界の将来性

EC市場の拡大などにより物流業界における需要は高まっていますが、一方で少子高齢化によるドライバー不足や物流コストの増加などの課題もあります。また、労働時間の短縮で輸送能力が低下が懸念される「2024年問題」も抱えており、現在は労働環境の改善や業務の効率化・合理化が求められている状況です。一方で、AIやロボットを導入して業務の効率化や生産性の向上を図るなど、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)化にも取り組んでいます。これにより、物流業界の発展と労働環境の改善が期待できます。
物流の仕事内容を把握して就職や転職に活かそう!

物流業界での仕事は、仕分けやピッキング、梱包など細かく分類されており、各工程を担当する従業員が作業を行っています。トラックの運転だけでなく、フォークリフトや運行管理など必要なスキルも多種多様で、スキルが多いほど対応できる仕事の範囲も広がります。物流業界への就職や転職を検討している人は、本記事を参考にしながら応募する企業を探してみましょう。