製造業の職種とは?業種・分類・魅力・やりがいを徹底解説

エラメク編集部
2025年3月4日 0:36
今回は、製造業の職種や分類を詳細に解説します。製造業は、職種や分類によって仕事内容が異なり、「自分の携わった製品が世の中に出る」という達成感などを感じやすいです。
これから製造業に就職や転職を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
製造業の定義
製造業は、素材の加工・組立・販売までを行う業界です。「第二次産業」に分類されます。一般的には、流れてくる部品などを加工するというイメージを強く持たれがちですが、実際には新商品の開発や自社の技術の営業活動など、多岐に渡ります。2024年時点で、日本では1,000万人以上の人が製造業界で働いており、「ものづくり大国」と呼ばれるほど、日本の技術は海外からも評価されています。
製造業とメーカーの違い
「製造業」と「メーカー」はどう違うのか?という疑問があがりますが、製造業は「業界全体」のことを指し、メーカーとは「製造を担う企業」のことを指します。
メーカーの多くは、原材料の調達から製造、販売からアフターサービスまでを一手に担います。また、マーケティングやブランディングにも関わることができるため、自分の得意なことや興味のあることに挑戦できる環境があると言えるでしょう。なお、メーカーによっては物理的な生産や専門的な加工、部品供給など何かに特化している企業もあります。
主な製造業の業種

製造業には、どのような業種があるのでしょうか。ここでは、様々な業種の中から7つをピックアップして解説します。イメージしやすい業種もあると思いますので、あなたの身近なメーカーや商品を思い出しながら確認してみてください。
1. 自動車
自動車製造業は、ボディやフレームなどのパーツの成形や自動車を完成させる仕事があります。溶接、塗装、組立など様々な工程があり、完成した自動車を検査することも仕事内容となっています。
近年では、自動運転や電気自動車などめざましい発展をしており、生産体制の強化や量産化に向けた動きがあります。人手不足でなかなか大変なところはありますが、やりがいや世の中を支えることを実感できる業種と言えるでしょう。
2. 医薬品関連
医薬品関連の業種は、病院や医師から処方される薬やドラッグストアなどで購入できる「一般医薬品」の製造をしています。コンビニやドラッグストアで購入できる商品が増えていることで、人々の暮らしや健康を守ることが実感できる業種です。
また、医薬品を作るだけでなく新薬(新製品)の開発や臨床試験などを行うこともあり、専門性が求められる場面がある業種です。
3. 食品
私たちが普段食べている冷凍食品や缶詰、お菓子、飲料など多岐に渡ります。原材料の調達や新商品の開発、営業、マーケティングなど様々な仕事があり、現場からのキャリアチェンジによって理想の働き方も可能です。
4. 電気機械
パソコンやスマホなどの電子部品を作るのが「電気機械業界」です。「電気機械器具製造」「情報通信機械器具製造」「電子部品・デバイス製造」という3つに分かれており、従来は多くの工場は海外にありました。しかし、近年は半導体不足の影響によって工場を国内に戻す動きがあり、人材が求められている業種です。
5. 金属・鉄鋼関連
あらゆる機械や建築に利用される部品、鉄鉱石や加工前の鋼などの生産を行う業種です。乗り物(自動車、電車、船舶など)や建造物(ダムや橋梁など)、電化製品(電子レンジや冷暖房機器)などの日常生活に関わるものまで、人々の生活を支える製品を作るために欠かせないものを作ります。
6. 化学製品
化学製品業界は、石油や鉱石などを原料にして、化学反応の生産プロセスによって製品を作ります。幅広い製品を扱い、原料の調達から生産までをワンストップで行っているメーカーもあるため、他にはない経験を積むチャンスがあります。
7. 建築・住宅関連
窓やサッシ、壁紙やカーテンなどの一般住宅向けのものからコンクリートやボルト、塗料に至るまで、様々な建築部材を製造しています。家や建物などの完成品までを作ることはありませんが、部品一つひとつが建物のクオリティや安全面に関わるため、丁寧かつ高品質な作業が求められます。
製造業の職種

ここからは、製造業の職種を紹介します。製造業は大きく「技術職」と「技能職」に分けることができます。自分がどのようなキャリアを歩んで行きたいのか、どんな働き方をしたいのかによって目指す職種を決めると良いでしょう。
技術職と技能職
技術職は、「エンジニア」と「事務」があり、技能職は実際に製品の加工や組み立てを行います。それぞれ求められる知識やスキルが異なるため、自分に合った仕事内容や働き方が何かを考えた上で選ぶのがおすすめです。
「技術職」の中でも、特にエンジニアは理系の専門知識(工学、化学、数学など)を活かしたものづくりや新製品の設計・開発、マニュアルづくりなどを行います。技能職は、エンジニアが開発・設計した製品を形にするのが仕事です。マニュアルに沿った丁寧な作業が求められるため、お互いが常に連携をとることで良い製品づくりができるようになるのです。
製造業の職業事の具体的な仕事内容
技術職(エンジニア)
製造業における技術職は、一般的に知られるエンジニアのイメージとは少し違います。主な仕事としては、電気や回路、機械に関する設計や組み込み開発、技術開発や整備・保全に至るまで幅広く対応することが求められます。さらに、近年は「分析」にもニーズが高まっており、例えば新しいマシンを導入した際には「生産効率はキープできるか」「さらにコスト削減は出来ないか」「品質が落ちることはないか」などを調査し、実際に導入することについてのデータを集めることも重要な仕事の一つとなっています。
技術職(事務)
事務職と一言で表しても、その仕事内容は多岐に渡ります。このポジションは、商品企画や営業、広報、総務人事など、現場を支える縁の下の力持ちとしての役割を担うことがほとんどです。どの会社組織でもあるような仕事かもしれませんが、多くの人が働く工場現場における業務は、どの業務においても扱う情報量や規模が大きいため、その分気を遣うこともあり、やりがいは十分にあると言えます。
技能職
技能職は、加工や部品の組み立てなどを実際に行う職種です。未経験でも挑戦できることが多く、ここでの経験や得た知識からスキルアップしてエンジニアや事務職にキャリアチェンジする人もいます。この仕事は、実際に組み立てたものが世の中に出るという大切な仕事です。単に作れば良いのではなく、細かいマニュアルや衛生管理など厳しい環境下で作業をしなければならないことがあります。ルールを遵守する意識がない人やそのようなルールを守ることを負担に感じる人は、辛い仕事かもしれません。
製造業界のキャリアパス

製造業のキャリアパスは、主に「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」を目指していきます。「スペシャリスト」と「ゼネラリスト」の2つについて、詳しく解説していきます。
1. スペシャリスト
スペシャリストは、特定の分野などで「一点集中」で専門的なスキルや知識を身につけていきます。深めていった分野のスキルや知識は、後輩などに伝えていくことで企業そのものの強みになり、他社との差別化につながります。
いわゆる「職人」のような立場になるため、内容によっては応用が難しく、できる仕事が限られてしまうことがあります。
2. ゼネラリスト
ゼネラリストは、「オールラウンダー」です。様々な部門で経験を積むことで「部門責任者」や「企業経営」に関わることもあります。幅広く経験するため、あらゆる部署の事情や仕事内容を理解しており、円滑に業務を進めたり改善が必要なところにテコ入れをすることが期待されます。ただし、専門性は高くないためスペシャリストとの連携は不可欠です。
製造業界で働く魅力

AIやロボット、IoTなどの技術が発展するなかでも、人材が求められ続ける製造業ですが、様々な魅力に溢れています。今回は、4つの魅力に注目してご紹介します。
1. 誰でも挑戦できる環境
製造業は、高品質かつ効率的な作業が求められます。そのため、丁寧なマニュアルが整っていることが多いです。また、研修期間がしっかり設けられているため、未経験でも挑戦しやすい環境が整っています。
また、資格や経験、学歴不問で働けることが多いため、「未経験から挑戦してみたい!」という気持ちがあれば応募することができるのです。
2. 単純作業だけじゃない奥深さ
製造業は、ルーティンワークを繰り返すことがあります。ただ、単純作業で「モノ」を作るだけでなく常に高品質なものが求められます。効率よく高品質なものを追求していくため、マニュアルに沿った作業の中でも自分なりに考えて仕事をすることが大切です。
3. 働きやすさ
製造業界は、厳しい・危険などのイメージから人材の定着が難しいのが現状です。しかし、働き方改革などによって、労働環境も改善が進んでいます。
また、生産計画に合わせて動くため繁忙期や急な仕事でない限り忙しすぎることはなく、福利厚生を充実させている企業も増えていることから、「長く働く」仕組みづくりが行われています。
4. 高収入が期待できる
製造業の仕事では、夜勤があるところもあります。「稼ぎたい」という明確な目標や気持ちがある場合には、夜勤があるところを選ぶと高収入が期待できます。また、経験やスキルを高めたり資格を取得することで手当がつくなど、他者との差別化ができれば高収入のチャンスがあります。
製造業に向いている人

次に、製造業に向いている人はどのような人なのか解説します。「製造業に挑戦したいけれど、向いているか不安」という方は、特にしっかり読んでおきましょう。
ものづくりが好きな人
基本的に、「ものづくり」が好きな人が向いています。幼い頃からプラモデルやおもちゃなど、なんでも自作することに抵抗がない人にはこの仕事が合っています。また、細かいところまで丁寧に作業ができる人、「まあいいか」と手を抜くことが嫌いな人、一人で作業を行うことが苦ではない人も、向いていると言えます。
ルールが守れる人
製造業は、作業内容だけでなく衛生面や勤務ルールなど様々な場面でマニュアルやルールがあります。企業側が「これは遵守してください」ということについては、法律に関わっている部分もあるのでしっかり守れる人が向いています。「ちょっとだけなら良いだろう」「バレなければ大丈夫」という思考になる人は向いていません。
集中力がある人
製造業の仕事には集中力が欠かせません。特に技能職は集中力が必要となります。長時間にわたって同じ作業を繰り返すことが多いため、常にクオリティを担保するためにも安定した集中力を発揮できる人は向いています。
製造業のやりがい

せっかく製造業で働くなら、やりがいを感じられないと長く続かないのではないでしょうか。ここからは、製造業のやりがいを紹介します。
携わった製品が世の中に出る
製造業のやりがいとして大きなものが、「多くの人の日常生活を支えていることを実感できる」ことでしょう。何気なくお店で目にしているものや使っているものの製造に関わると、特に実感できます。また、自分が作ったものがお店や企業の評価に直結することも、大きなやりがいにつながります。
スキルアップが実感できる
製造業は、決まった手順で同じ作業を繰り返すことが多くあります。しかし、その中でもスピードが上がったりクオリティが安定してくることでスキルアップが実感できます。
また、作業をする中で余裕が出てきて改善点に気づくことができてくると、それだけ自分のスキルが高まってきたことの証明になるでしょう。
手に職がつけられる
製造業で働く中で、業界だからこそ得られる知識や経験、資格はまさに「手に職」と言えます。製造業界内で転職するだけでなく、人によっては趣味やボランティアなどでも身についたスキルや経験が活かせることもあるので、他者から感謝されたり役に立つことは大きなやりがいにつながります。
自分に合った職種を見つけて働こう

今回は、製造業の仕事について業種や職種、魅力ややりがいなどを紹介しました。製造業は私たちの生活を支えてくれており、実際に作ったものが世の中の役に立っています。また、魅力とやりがいに溢れており、多くの職場で長く働きやすい環境が整えられていることから、未経験でも挑戦しやすい業界です。ぜひ、今回の記事を参考に製造業界への就職や転職を検討しましょう。