食品製造業とは?工場の種類や仕事内容、向いている人の特徴を徹底解説

エラメク編集部
2025年2月21日 14:04
食品製造業は、お菓子・パン・冷凍食品など、加工や調理、包装に出荷までを行う仕事です。本記事は、食品製造業の工場の種類や仕事内容、現在の課題、に向いている人の特徴まで網羅的にご紹介します。食品製造業に興味がある方は参考にしてみてください。
食品製造業とはどんな仕事?

食品製造業の業務内容は、大きく分けると4つの工程に分けることができます。それぞれどんなことをするのか見てみましょう。
製造
食材のカットや、炒める煮るなど加熱調理をし、料理を作っていく工程です。工場では誰が作っても同じ仕上がりになるように、マニュアルが完備されています。製造においては、基本的に難しい作業はほとんどないため、未経験でも大丈夫です。場所によっては、すべて機械がカットや調理などを行う場合もあります。この場合は、機械が調理をできているか、不具合がないかなど、確認作業が主な仕事です。
仕分け
出来上がった食品をトレーやお弁当などの容器に入れていく作業です。その後に種類や出荷先など分類ごとに分けます。製造と同様に難しい作業が発生することは少ないです。
梱包
袋や箱に梱包し、パッケージやシールなどを貼って出荷できる状態にしていくことです。工場の規模によって機械でする場合と、手作業でする場合があります。機械がメインの場合は、梱包のチェックや資材の管理などが主な作業です
管理・点検
最後に食品に問題がないか、印字ミスや不具合がないか、機械に異常がないかなど確認をしていきます。また、1日に出荷する量が決まっているため、予定通りに作業が進んでいるかなど、スケジュールの確認や調整も必要です。機械にトラブルが発生してしまうと大幅に遅れるため、最終点検は責任者やベテランの方が行います。
食品製造業と食品加工業との違い

食品製造業と食品加工業は似ていますが、どのような違いがあるのでしょうか。どちらも食の業界に対して大きな役割がありますが、それぞれ定義や業務内容について説明します。
定義の違い
食品製造業と食品加工業の定義の違いとしては、原材料を加工して消費者に届けるのか?製造されたものをさらに加工し、便利な状態で届けるのか?の違いです。
例えると、魚からかまぼこを作る、小麦粉からパンを作るなどのことを食品製造業。豚肉のブロックをミンチにしたり、魚を指定のサイズにカットして使いやすくするなど、ブラッシュアップし利便性を高めることを食品加工業、と分けられています。
設備と規模の違い
食品製造業は比較的大きな工場や高度な設備が必要とされ、品質管理も厳しく設定されています。一方食品加工業は、小規模でも対応することができ、品質管理も求められますが、食品製造業に比べると低めに設定されています。
食品製造業の種類

お弁当工場
コンビニやスーパーでよく目にするお弁当。複数のおかずを盛り付ける必要があるため、手早く正確に盛り付ける必要があります。消費期限が短く、食中毒や異物混入などの衛生管理には、細心の注意を払いましょう。
製菓・製パン工場
製菓・製パン工場は、クリスマスやバレンタインデーなどの繁忙期は特に忙しくなり、求人が増える傾向がある職種です。お菓子作りは未経験では難しいですが、食品製造業ではベルトコンベアーで流れてきたケーキやパンに、いちごを乗せたり、食材を挟んだりする簡単な作業です。衛生面やスピードはもちろん、見た目にも気を遣う必要があります。
冷凍食品工場
食材を加工した後に急速冷凍したものを、検品しながら手早く梱包する必要があります。検品や梱包などする作業場の室温が低いことも多く、冷凍庫に入る機会も多いため、寒さが苦手な方にとってはつらい環境です。
食肉加工工場
食肉加工工場の主な作業は、肉の塊をグラムごとに切り分けることです。そのあとに、グラムごとに仕分け、盛り付けして梱包していきます。肉を切る作業は手作業の場合もありますが、冷凍肉を扱う場合が多いため、業務用のスライサーなどを使って作業効率を上げていることが多いです。
水産加工工場
水産加工工場では、まず種類の選別を行い、エラや内蔵を取る、ウロコを取ったりと下処理をします。その後用途に応じて加工し、真空パックや冷凍保存していきます。他の工場に比べると水仕事が多く、生臭いのが特徴です。
調味料工場
調味料工場は、ケチャップ、マヨネーズ、醤油、お酢など家庭で常備している調味料や、めんつゆやだしの素など調味料を合わせたものまで製造しています。他の工場に比べると機械の作業が多いため、未経験の方でも作業がしやすいです。
食品製造業で活かせるスキルと経験

食に関する経験
食品を扱うため、野菜のカットや炒める、煮るなどの調理工程に慣れている。料理の完成のイメージがあると次の作業の予想がつきやすく、効率よく作業することができます。食の知識があれば応用も効きやすいため、食に興味がある方の経験は活かせます。
食品衛生に関する知識
工場では、大量の食品を製造するため、衛生管理にはとても注意が必要です。ちょっと触れただけ、加熱が足りないなど、家では気にならないことも、工場ではささいなミスが食中毒を起こすことがあります。
2021年から食品事業者に対して義務化された「HACCP(ハサップ)」というものがあり、食品を扱う事業で働く際は、HACCPの知識を覚えておくと良いでしょう。どの食品事業でも役に立つため、覚えておいて損はないです。
手先の器用さ
食品製造業は仕分けや梱包など、手先を使う単純作業が多いです。同じ作業を何時間も繰り返し、ライン作業が中心のためスピードも求められます。ゆっくり作業すると全体のペースが遅くなるので、手早く作業できる方にはおすすめです。
今の食品製造業の課題

人手不足
どの業界にも言えることですが、食品製造業は高齢者の割合が増え、少子化が進んでいるため働き手が減少しています。追い打ちをかけるように、コロナ禍をきっかけに外国人労働者が減ったり、在宅でも仕事ができる会社が増えたりしています。求人をかけても応募が来ないことが増え、食品製造業も慢性的に人手不足です。
原材料の高騰
近年原材料の高騰が後を絶ちませんが、食品を扱う業種の打撃はとても大きいです。世界的な経済の傾向、異常気象、物流費の上昇など様々な要因がありますが、食はなくてはならないもの。
原材料の見直し、簡易包装、食品ロスを防ぐなど、企業努力がこれまで以上に必要です。コストや製造のプロセスなどの課題を洗い出すことで、これまで見なかったものが見えることもあります。
ネガティブなイメージ
工場には、3K(きつい、汚い、危険)のネガティブイメージがつきものです。重労働や時間外労働など、特に若い世代から敬遠されやすい傾向があります。
現在では、AIの導入や機械の導入を積極的に行っている企業も多く、効率化が進んでいます。食品製造業は衛生管理がとても大切なため、工場内は清潔に保たれている場合が多いです。また食品が傷まないように、空調や換気設備が充実しているため、1年を通して快適に作業ができます。
食品製造業に向いている人

食品製造業に向いている人の特徴を紹介します。食品製造業ならではの特徴もあるため、参考にしてみてください。
単純作業を繰り返しできる人
食品製造業では1日を通して、同じ作業を繰り返すことが多いです。食材を指定のサイズにカットする、何百個の食品を梱包するなど、同じ作業を何度もするため、いろんな作業をしたい方より単純作業が好きな人に向いています。
食に興味がある人
カットした食材はどうやって作られているのか?どんな風にできあがるのか?食に興味がある方は、完成していく過程を間近で見ることができます。出来上がった食品は店頭に並ぶため、社会に貢献できる瞬間をリアルに感じられます。
黙々と仕事をしたい人
食品製造業は、単純作業が多いため、だれかとコミュニケーションを取るよりも、自分の作業に集中する時間の方が長いです。自分の世界に入り黙々と作業ができる人が向いています。
責任感が強い人
食品製造業の工場では、自分のラインを任されることが多いです。きっちり自分の仕事をこなすことで、周りの作業を止めずスムーズに作業できるため、責任感が強い人におすすめです。ひとつのミスが品質や安全に大きく関わるので、仕事に取り組む姿勢が大切です。
衛生管理ができる人
食中毒や異物混入などが起きると、会社の信用を大きく失います。手洗いや身だしなみはもちろん、「これは危ないかも」「異臭がする」など、日頃から危機管理ができていると、未然に大きな事故を防ぐことができます。
食品製造業に向いていない人

専門知識やスキルを求める人
同じ作業を繰り返すことが多く、機械がメイン作業をし、それを管理や梱包するなど、手に職を付ける機会が少ないです。食品製造業では、未経験でも作業できるように、専門知識やスキルが必要ない反面、自分で何かやりたいという方にとっては物足りなく感じるかもしれません。
単純作業が苦手な人
ずっと同じ作業が続くため、単純作業が苦手な方にとって窮屈に感じるかもしれません。食材のカット、梱包など同じ作業を何時間も繰り返すこともあるので、集中力と正確さを求められます。
人と話すのが好きな人
自分の持ち場で仕事をすることが多いため、誰かとコミュニケーションをとる機会が少ないです。作業中は一切話をしない場合もあるので、話しながら仕事をしたい人にとってはつらい環境かもしれません。また、作業に集中する場面も多いため、長時間の会話は業務の妨げにもなります。
自分のペースで仕事をしたい人
工場はベルトコンベヤーで流れ作業することが多いです。そのため自分のペースではなく、機械のスピードに合わせる必要があります。手が遅かったり止まったりすると、全体の流れに影響しますので、こだわって仕事をするより、淡々と仕事をこなす方が向いています。
食品製造業は食に興味がある方や黙々と作業したい方に向いている

食品製造業は食を支える大切な仕事です。昔ながらの3Kのイメージもありますが、現代ではロボットやAIの導入しているところも多く、労働環境も変わりつつあります。食品製造業は、未経験でも、細かい作業が好きな方や食に興味がある方など、向いている方にとっては働きやすい職種です。