運送業の残業60時間規制とは?収入減少のリスクと働き方の工夫を徹底解説

エラメク編集部
2025年8月29日 12:13
2024年から本格導入された運送業の残業60時間規制。ドライバーの収入や生活、勤務形態にどんな影響があるのかを解説し、収入を維持するための工夫や違法残業を避けるポイントも紹介します。
運送業の残業時間規制と60時間ルール

働き方改革の一環として導入された残業時間規制は、運送業に大きな影響を与えています。特に「月60時間の上限規制」は、ドライバーの健康を守るために設けられた重要なルールです。
本章では、この規制の背景や具体的な内容をわかりやすく解説します。
残業上限規制はいつから始まったのか
日本では2019年4月から「働き方改革関連法」により、原則として残業は月45時間、年間360時間までに制限されました。
ただし運送業界は業務の特殊性から「適用猶予」が設けられ、2024年4月から本格的に規制がスタートしました。
これにより、他業種と同様に長時間労働を減らす取り組みが求められるようになったのです。
60時間ルールの具体的な内容
「60時間ルール」とは、月の残業時間が60時間を超えた場合、通常の25%増しではなく50%増しの割増賃金を支払わなければならないという規制です。これは過重労働を防ぎ、ドライバーの健康を守る目的があります。
ちなみに、この割増率は法律(労働基準法第37条)で定められており、違反した企業には監督署から是正勧告や罰則が科される可能性があります。
違反した場合の罰則やリスク
もし企業が規制を無視して違法に残業させた場合、労働基準監督署からの行政指導、罰金、さらには刑事罰の対象となるリスクがあります。
また、過労による事故が発生した場合、企業の社会的信用が失墜するだけでなく、損害賠償の責任を負う可能性もあります。
ドライバー自身も健康被害を受けやすくなるため、労使双方がこの規制を守ることが極めて重要です。
ドライバーの収入と生活への影響

残業規制によってドライバーの労働時間が減ると、収入や生活スタイルにどのような変化があるのでしょうか。ここでは実際の数字を交えながら解説します。
平均的な残業時間と収入の関係
運送業では、月80〜100時間(※)の残業が珍しくないと言われてきました。これが規制により月60時間に抑えられると、単純計算で残業代が減少します。
例えば、時給換算で2,000円の残業代を得ていたドライバーの場合、40時間減るだけで月8万円、年間では100万円近く収入が下がる可能性があるのです。
(※厚生労働省「働き方改革総合サイト」参照)
残業減少による年収への影響
規制による残業削減で、年収が下がるケースも想定されています。その一方で、健康維持や余暇時間の確保ができるようになり、長期的には生活の質が向上するという意見もあります。
つまり「収入を優先するか」「生活のバランスを取るか」という選択がドライバーに迫られているのです。
生活スタイルや勤務形態の変化
残業が減ることで、早く帰宅できる日が増え、家族との時間を持てるようになります。逆に「収入が減った分を補いたい」と考える人は、副業や資格取得によるキャリアチェンジを検討するケースも増えています。
特に大型免許や運行管理者資格を取得すると、待遇の良い会社へ転職する道が開けるため、生活スタイルを見直すきっかけになるでしょう。
運送業界で残業を減らしながら働く工夫
規制を守りながら収入と生活のバランスを維持するにはどうすればよいのでしょうか。ここでは効率化やスキルアップの工夫を紹介します。
仕事の効率化で残業を減らす方法

まず重要なのは、配送ルートや積み込み作業の効率化です。デジタルタコグラフやAIを活用した配送システムを導入することで、無駄な待機時間を削減できます。
また、荷主との調整を行い待機時間を短縮する「ホワイト物流」推進運動も広がっており、現場レベルでの改善が期待されています。
収入を維持するための資格や働き方
残業が減る分を補うには、資格や働き方の工夫が不可欠です。例えば、大型免許や牽引免許を持つと高単価の仕事を担当でき、収入を維持しやすくなります。
また、夜勤や長距離便など手当の厚い勤務を選ぶことで、効率よく稼ぐ方法もあります。副業として物流コンサルタントや軽貨物配送を組み合わせる人も増えています。
違法残業を避けるために知っておくべきこと
ドライバー自身も労働法規を理解しておくことが大切です。
「月45時間以内」「年間360時間以内」が原則であること、60時間を超えると割増率が上がることを知っていれば、不当な労働を強いられた際に声を上げやすくなります。
運送業「残業60時間規制」についてよくある質問
Q運送業の残業60時間規制はいつから始まったのですか?
A2024年4月から本格的に適用されています。それまでは猶予期間がありましたが、現在は他業種と同様に規制が徹底されています。
Q残業が60時間を超えた場合、どうなりますか?
A60時間を超える残業については、通常の25%増しではなく50%増しの割増賃金を支払う必要があります。これは労働基準法で定められています。
Q収入はどれくらい減る可能性がありますか?
Aドライバーの勤務状況によりますが、年間で50万円〜100万円※ほど収入が減少するケースが想定されています。ただし、効率的な働き方や資格取得によってカバーできる場合もあります。
(※PRTIMES「2024問題についてのアンケート」参照)
Q残業が減った分、副業はできますか?
A多くの会社では副業が可能ですが、就業規則によって制限がある場合があります。軽貨物配送や物流関連の副業を選ぶ人も増えています。事前に会社へ確認することをおすすめします。
Q違法な残業を強いられた場合、どうすればいいですか?
A労働基準監督署や労働組合に相談することができます。匿名での相談も可能なので、安心して行動してください。
60時間規制を正しく理解し、自分の働き方を選ぼう
運送業における残業60時間規制は、ドライバーの健康を守りつつ働き方を見直す大きな転機となります。収入面での不安はあるものの、効率的な働き方や資格取得によって解決できる部分も多いです。
大切なのは規制を正しく理解し、自分に合った働き方を選ぶことです。これからの運送業は「時間より効率」「量より質」が問われる時代に移行していくでしょう。