「高卒だと転職は厳しい」「学歴フィルターで書類すら通らないのでは」そんな不安から、転職の一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。結論からいえば、高卒の転職には厳しい一面があるのは事実です。ただし、それは学歴そのものよりも「準備不足のまま挑むと苦戦しやすい」という意味合いが大きいもの。この記事では、高卒の転職が厳しいといわれる理由を整理したうえで、見落とされがちな高卒の強み、成功させるための具体的なコツ、学歴不問・未経験歓迎の求人が多いおすすめ業界まで、実際に未経験から転職を叶えた人の声も交えて解説します。
高卒の転職は本当に厳しい?結論とデータで見る現実

出典:https://pixta.jp/photo/138840431
「高卒 転職 厳しい」と検索する人の多くは、学歴で不利になることへの漠然とした不安を抱えています。まずは感情ではなくデータで、高卒の転職の「現実」を確認しておきましょう。
データで見る高卒の転職の現実(離職率)
「高卒はすぐ辞めるから採用されにくい」とよくいわれます。しかし厚生労働省の調査では、新規学卒就職者の就職後3年以内離職率は、高卒37.9%・大卒33.8%(令和4年3月卒)でした。その差はわずか4ポイントほどで、「高卒だから極端に早く辞める」という事実は確認できません。
むしろ、若い世代ほど転職で市場価値を高めようとする動きは一般的になり、早期の転職そのものがネガティブに扱われにくくなっています。学歴よりも意欲やポテンシャル、現場での適性を重視して採用する企業も増えてきました。「厳しい」というイメージが、実態より先行している面があるといえるでしょう。
参照:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
「厳しい」の正体は“無策で挑むと厳しい”だけ
高卒の転職が厳しいと感じる場面は確かにあります。ただ、その多くは「応募先の選び方」や「準備の仕方」で避けられるものです。大卒前提の求人にばかり応募したり、学歴で勝負しようとしたりすると苦戦しますが、学歴不問・未経験歓迎の求人を狙い、現場で培った強みを言語化できれば十分に戦えます。つまり「高卒だから無理」なのではなく、「無策で挑むと厳しい」というのが実態に近いのです。次章から、その理由と対策を具体的に見ていきましょう。
高卒の転職が「厳しい」と言われる4つの理由

出典:https://pixta.jp/photo/109809337
なぜ「高卒の転職は厳しい」といわれるのでしょうか。背景を知れば、対策すべきポイントも見えてきます。代表的な4つの理由を押さえましょう。
「大卒以上」の求人が一定数あるから
応募条件に「大卒以上」と明記された求人は一定数存在します。とくに大手企業の総合職や、専門資格が前提となる職種では、学歴で応募段階からふるいにかけられることがあります。高卒が応募できる求人は大卒より選択肢が狭まりやすく、これが「厳しい」といわれる最大の理由です。裏を返せば、学歴不問の求人に絞れば、この壁の多くは回避できます。
早期離職のイメージを持たれやすいから
データ上は大卒と大差ないものの、「高卒は早く辞めるのでは」という印象を持つ採用担当者はいまだに存在します。採用にはコストがかかるため、企業は「長く働いてくれるか」を重視するのです。この不安を払拭できるかどうかが、選考突破の分かれ目になります。
専門スキル・経験不足と見られやすいから
大卒と比べて専門教育を受けていない、あるいは前職の経験が浅いと見なされ、スキル面を不安視されることがあります。ただし現場職の多くは、入社後の研修やOJTで技術を身につける前提です。「未経験でも育てる」という企業を選べば、スキル不足は致命的なハンデにはなりません。
大手・人気企業は学歴フィルターがある場合も
応募が殺到する大手・人気企業では、効率的に候補者を絞るために学歴を一つの指標とすることがあります。こうした企業ばかりを狙うと、書類選考の時点で苦戦しがちです。一方で、人手不足の業界や成長中の中小企業では、学歴より意欲・人柄を重視する傾向が強く、高卒でも十分にチャンスがあります。
業界を絞って「難しい人」と「受かる人」の違いを知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてください。
製造業への転職は難しい?「難しい人」と「受かる人」の違いを現場のリアルから解説
高卒の転職はむしろ有利?見落とされがちな3つの強み
不安ばかりが語られがちですが、高卒には大卒にはない強みもあります。ここを自覚して伝えられるかどうかで、評価は大きく変わります。
大卒より早く積める実務経験というアドバンテージ
高卒で就職すれば、同年代の大卒がまだ学生の間に、最大で4年近く実務経験を積めます。現場で培った技術、体力、仕事への姿勢は、机上の学問では得られない実践的な武器です。20代前半で「すでに数年の社会人経験がある」という点は、第二新卒枠や未経験採用で有利に働くことも少なくありません。
若さ=ポテンシャル採用の土俵に乗りやすい
多くの企業は、若い人材を「これから育てられる存在」として歓迎します。年齢が若いほど吸収力や順応性を期待され、未経験職種にも挑戦しやすくなります。高卒で早くから動ける人は、この「ポテンシャル採用」の土俵に長く立てるのが強みです。
人手不足業界は「学歴不問・未経験歓迎」が豊富
製造・物流・建設・介護といった業界は、慢性的な人手不足から、学歴を問わず意欲のある人を広く受け入れています。「未経験歓迎」「学歴不問」の求人が多く、入社後の研修で技術を身につけられる環境も整っています。こうした業界を選べば、学歴の壁を感じる場面はぐっと減るでしょう。
実際に、歯科技工士として27年勤めたのち、48歳で未経験のドライバーへ転職した小堀さん(橋本運輸株式会社)は、年齢や経験のハンデを越えて新しいキャリアを築いています。
1:口コミ
高卒の転職を成功させる7つのコツ
「厳しい」を乗り越えるには、戦い方が重要です。高卒の転職を成功に近づける7つのコツを紹介します。
20代のうちなど、できるだけ早く動く
転職は若いほど有利です。ポテンシャルを評価してもらえる期間は限られているため、迷っているなら早めに動くのが得策でしょう。とくに未経験職種へ挑戦したい場合、20代のうちに動けるかどうかで選択肢の広さが変わります。
「学歴不問」「未経験歓迎」の求人に絞る
「大卒以上」の求人に時間を使うより、「学歴不問」「未経験歓迎」と明記された求人に絞るほうが効率的です。求人票のこの一文を確認するだけで、学歴フィルターで落とされる無駄打ちを大きく減らせます。
人手不足の業界・職種を狙う
人材を求めている業界ほど、未経験・高卒を受け入れる間口が広くなります。「入りやすさ」だけでなく、資格取得やキャリアアップの道が用意されているかもあわせて確認しましょう。具体的な業界は次章で紹介します。
志望動機で「長く働く意志」と「現場での強み」を伝える
採用担当者が最も気にするのは「長く働いてくれるか」です。志望動機では、なぜその会社で長く働きたいのかを具体的に伝え、早期離職の不安を払拭しましょう。あわせて、前職や日常で培った真面目さ・継続力・体力といった「現場で活きる強み」を、エピソードとともに示すと説得力が増します。
採用する企業側も、必ずしも学歴や経験の豊富さだけを見ているわけではありません。茨城県で創業130年を超える株式会社坂場商店の坂場光治社長は、高卒の新卒採用にも積極的で、採用で重視する点について次のように語っています。
2:口コミ
転職エージェント・転職サイトを使い倒す
一人で求人を探すより、転職エージェントや転職サイトを併用するほうが効率的です。エージェントは非公開求人の紹介や書類添削、面接対策までサポートしてくれます。高卒・未経験の支援に強いサービスを選ぶと、学歴不問求人に出会いやすくなるでしょう。
資格でスキル不足の不安を補う
スキル面の不安は、資格でカバーできます。フォークリフトや危険物取扱者、電気工事士などの実務直結型の資格は、未経験でも「すぐ戦力になれる」アピールになります。入社後に会社負担で資格を取得できる企業も多いため、資格取得支援の有無も求人選びの判断材料になるでしょう。
退職理由はポジティブに言い換える
前職の不満をそのまま伝えると、「またすぐ辞めるのでは」と受け取られかねません。退職理由は前向きな表現に変換しましょう。例えば「人間関係がつらい」ではなく「チームで協力できる環境で働きたい」、「給料が低い」ではなく「成果を正当に評価される環境で挑戦したい」といった具合です。
高卒の転職におすすめの業界・職種

出典:https://pixta.jp/photo/135637196
「厳しい」を避けるには、そもそも高卒を歓迎する業界を選ぶのが近道です。学歴不問・未経験歓迎の求人が多く、キャリアアップも狙える業界・職種を紹介します。
製造業(工場・ものづくり)
製造業は未経験・高卒の受け入れが活発な代表的な業界です。ライン作業から始めて技術を磨き、設備保全や生産管理、品質管理へとキャリアを広げられます。資格取得支援や各種手当が充実した企業も多く、腰を据えて長く働きやすい点も魅力です。
高卒で製造業を目指す際の仕事内容や年収アップのポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。
高卒で製造業で働くメリットは?仕事内容や年収アップのポイントを網羅的に解説
工場勤務の現状や将来性、キャリアアップの方法を知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
高卒者の工場勤務の現状や将来性・年収を徹底解説!キャリアアップの方法も紹介
物流・運送業(ドライバー・倉庫)
EC市場の拡大で需要が伸び続ける物流・運送業も、未経験から挑戦しやすい業界です。普通免許から始め、入社後に中型・大型免許やフォークリフトの資格を会社負担で取得できるケースもあります。ドライバーだけでなく、倉庫内作業や物流管理など職種の幅が広いのも特徴です。
建設・施工管理
建設業も人手不足が続き、未経験・高卒を積極採用しています。現場作業から経験を積み、施工管理技士などの資格を取得すれば、キャリアと年収を大きく伸ばせます。全国各地の現場に携われるため、手に職をつけたい人に向いています。
介護・福祉
介護・福祉は学歴より人柄・意欲を重視する業界の代表格です。無資格・未経験から始め、働きながら介護職員初任者研修や介護福祉士などの資格を取得してステップアップできます。社会的ニーズが高く、将来にわたって安定した需要が見込める点も安心材料です。
営業・ITなど成果や意欲が評価される職種
営業職は学歴より成果が評価されやすく、高卒でも実績次第で高収入を目指せます。また、慢性的な人材不足が続くIT業界も、未経験者向けの研修制度を設ける企業が増え、プログラマーなどへの道が開けています。「学歴より行動と成果」で勝負したい人に向いた分野です。
逆に高卒には厳しめな職種
一方で、大手企業の総合職や、応募条件に「大卒以上」が多い一部の事務職・専門職は、高卒だと間口が狭くなりがちです。どうしても挑戦したい場合は、まず関連職種で実務経験を積み、実績を武器に転職する「ステップアップ型」のルートが現実的でしょう。
【年代別】高卒の転職で押さえるポイント
同じ高卒でも、20代と30代以降では戦い方が変わります。年代別のポイントを押さえておきましょう。
20代:選択肢が広くポテンシャル勝負
20代は、ポテンシャル採用の対象になりやすく、未経験職種への挑戦もしやすい時期です。学歴より「これからの伸びしろ」を見てもらえるため、興味のある業界に思い切って飛び込みやすいのが強みです。やりたい方向性が定まっているなら、早めの行動が選択肢を広げます。
20代での業界選びや転職のポイントは、以下の記事でも具体的に解説しています。
製造業に20代で転職するには?現場や20代で転職するポイントを解説
30代以降:実務経験・実績で勝負
30代以降は、ポテンシャルだけでなく「これまで何をしてきたか」が問われます。現職で培ったスキルや実績、マネジメント経験を棚卸しし、応募先で活かせる形で伝えることが重要です。未経験分野に挑むなら、人手不足で経験を問わない業界や、資格でカバーできる職種を狙うと成功率が上がります。
よくある質問(FAQ)
高卒で転職できないことはある?
「高卒だから転職できない」ことはありません。大卒以上が条件の求人には応募できませんが、世の中には学歴不問・未経験歓迎の求人が数多くあります。応募先を適切に選び、長く働く意志と強みを伝えられれば、高卒でも転職は十分に可能です。
高卒でも大手に転職できる?
可能性はあります。大手企業でも、現場職や技能職では学歴不問で採用するケースがあります。ただし総合職は「大卒以上」が多いため、まずは関連業界で実務経験を積み、実績をもって中途採用で挑戦するルートが現実的でしょう。
高卒の転職に資格は必須?
必須ではありませんが、あると有利です。とくにフォークリフトや危険物取扱者、電気工事士、介護系資格などの実務直結型の資格は、スキル不足の不安を補い、即戦力としての評価を高めます。入社後に会社負担で取得できる企業も多いので、資格取得支援の有無も確認しましょう。
まとめ:高卒の転職は戦い方次第で十分できる
高卒の転職には「大卒以上の求人がある」「早期離職のイメージ」といった厳しい一面があるのは事実です。しかし厚生労働省のデータを見れば離職率に大きな学歴差はなく、学歴より意欲や適性を重視する企業は着実に増えています。「高卒だから無理」ではなく、「学歴不問・未経験歓迎の求人を選び、長く働く意志と現場での強みを伝える」という戦い方さえ押さえれば、道は十分に拓けます。
製造・物流・建設・介護をはじめ、高卒・未経験を歓迎する受け皿は数多くあります。まずは自分の強みを整理し、できるところから一歩を踏み出してみましょう。


.png&w=3840&q=75)

