「封筒に込める誠実さ」──福島封筒・渡辺さんが築く信頼のストーリー
.png&w=96&q=75&dpl=dpl_CMAY2QSqXwobkdRWuZcJg6kcitTq)
株式会社福島封筒
2025年10月3日 17:37
株式会社福島封筒は、特注封筒の製造・販売を通じて、多様な業界を支えています。1ミリ単位の調整や窓位置の工夫など、緻密で専門性の高いものづくりを強みとし、お客様の用途に適した封筒を提案しています。今回は営業職として活躍する渡辺さんに、入社のきっかけや営業デビュー当時の苦労、自身の強みをどう営業に活かしているのかをお伺いました。
渡辺 翔太
学生時代から培った接客経験を武器に、新卒で福島封筒へ入社。入社前にインターンとして飛び込み営業を経験し、営業スキルを磨く。入社以来営業活動にいそしみ、これまでに新規開拓・既存顧客へのご提案、フォローを担う。顧客から「渡辺さんだから任せたい」と指名を受けるなど、信頼関係に基づいた営業スタイルが強み。
接客経験を強みに変え、営業職に挑戦
ー入社のきっかけを教えてください。
学生時代にアルバイトで働いていた飲食店の常連客が弊社の代表で、就職活動期間中に「一度会社を見に来ないか」と声をかけていただきました。直接の言葉に正直驚きましたが、他社からの内定もあった中で会社見学に行かせてもらい、これが大きな転機になりました。
ー今振り返ると、どうして代表は声をかけてくださったと思いますか?
今でも営業する上で大切にしている「気遣い」「元気さ」を評価していただけたのだと思います。接客経験を通じて、相手が何を求めているかを察知し、先回りして行動する習慣が自然に身についていました。例えば、お客様のグラスが空になりそうなタイミングで「お飲み物はいかがですか?」と声をかけたり、料理をシェアされる際には追加の取り皿をお持ちしたりと、お客様が「言う前に気づいてくれた」と思わず声にでてしまうような接客を心がけていたんです。その姿を間近でご覧になった代表が「相手の期待に先回りして応える姿勢」や「場を明るくする元気さ」 を評価してくださったのだと思います。

ー実際に福島封筒を見学されて、いかがでしたか?
他社とは明らかに違うカルチャーを感じました。印象的だったのは、社員同士の関係性です。程よい距離を保ちながらも、お互いを尊重し切磋琢磨するバランスの良さを感じました。質問しても笑顔でアドバイスしてくださる姿を見て「自分もこの会社の仲間に加わりたい」と思いました。
ーもともと封筒業界に関心はあったのでしょうか?
正直全くありませんでした。封筒といえば、文具店で販売している程度の認識で、特別意識したことはなかったです。
ただ、私の就職活動の軸は「コミュニケーションを武器に相手の役に立てる仕事」でした。アルバイトで培った「お客様に喜んでいただく」「感謝される」という経験を、営業という形で活かしたいと考えたからです。弊社の場合、お客様のニーズに応える提案力やコミュニケーション能力が求められます。「ここなら自分の強みを発揮できる」と思いました。
飛び込み営業で磨いた、信頼関係づくり
ー福島封筒では、どのような封筒を扱っていますか?
弊社は特注封筒のご提案と製造がメインです。1ミリ単位でサイズを調整したり、窓の位置を細かく設定したり、企業ロゴやデザインに対応したりと、お客様のニーズにそった柔軟な設計が強みです。用途としては、DMや各種企業の請求書関連など業務用がメインで、お客様から「企業オリジナルのロゴで、このサイズで作れますか?」といったご要望をいただくこともあります。
ー1日のスケジュールを教えてください。
午前中はお客様からの問い合わせ対応やお見積もりの作成、午後はお客様先に訪問します。日によって変わりますが、1日4軒程度のお客様先を回ることが多いですね。
前述の通り、弊社の主な取り扱い商品は、特注の封筒です。仕様やデザインなど詳細な打ち合わせが必要なので、必ず対面でニーズをお伺いしています。特に1ミリ単位での調整が必要な場合、実際に封筒を手にとってもらいながら細かく確認しています。
ー内定をもらってからは、インターンとして営業デビューしたそうですね。
入社前にインターンとして実務を経験しました。まずは現場同行を通じて、営業活動のプロセスやお客様とのコミュニケーション方法を学びました。特に飛び込み営業に同行した際には、現場ならではの緊張感や臨機応変の大切さを実感しましたね。その後は、自らアポイントの電話をかけたり、簡単な商品説明をしたりと、徐々に任せてもらえる機会が増えていきました。
ー初めてご自身で営業活動をしたときのことを教えてください。
人生で最も緊張した瞬間のひとつでした。事前にトークスクリプトを作り、想定問答まで準備していたのですが、いざ本番になると頭が真っ白になり、言葉がうまく出てこなかったんです。即座に上司がフォローしてくださいましたが、自分の経験不足を痛感しました。
この失敗を機に「現場での経験こそ自分の成長につながる」と考え、積極的に営業活動をし始め、その結果緊張せずに冷静に提案できるようになりました。
ー営業スキルはどのように培われていきましたか?
大きな転機となったのは、超高層オフィスビルに入居する企業への飛び込み営業です。1日20〜30件のペースで訪問を重ねる中、当初は断られるたびに落ち込んでいましたが、次第に「どうすれば断られずに話を聞いてもらえるか」を考えるようになりました。そこで意識したのは、商品を売り込むのではなく、まず私自身を知っていただくことです。挨拶から自然なコミュニケーションを心がけ、徐々に商談の機会を増やしていきました。今でも「営業活動の始まりは信頼関係づくり」だと常々感じています。
「自分らしさ」を軸に築いた、営業スタイル
ー営業活動で最も苦労したことを教えてください。
最も苦しかったのは、同僚との成果の差に悩んだ時期です。同僚が次々と契約を決めるなか、私だけ結果を残せず「なぜ自分だけできないのか」と焦りや劣等感が募っていました。数字に追われるほど空回りし、ますます自信を失っていったのを覚えています。そんな時、上司から「断られることは失敗ではなく、成功までの過程だ」と教えてもらいました。それ以降、同期と比べるのではなく、自分の強みを活かして一歩ずつ進めるようになりました。営業活動において「数」や「忍耐」はもちろん大切ですが、「自分らしさを軸に工夫を続けること」が大事だと今でも思っています。

ー営業としての「自分らしさ」を詳しく教えてください。
お客様の立場を最優先に考えられることです。例えば、納期に関してご相談いただいた際、ただ「通常は1週間です」とお伝えするのではなく、その案件の緊急性や重要性を察して、柔軟なご提案をすることもあります。また、紙のサンプルをご希望いただいた際には、紙質だけをお渡しするのではなく、実際に封筒の形に仕上げたサンプルをお持ちし、より具体的に完成形をイメージしていただけるよう工夫したこともありました。
気遣いや先回りをするためには、お客様の声を正しく受け止める「傾聴力」が欠かせません。私はこれまでに30冊以上のビジネス書を読み、傾聴力を学び続けてきました。そのため、お客様一人ひとりの状況や価値観を汲みとったご提案ができるようになったと感じています。
ー他にも、大切にしてきたことはありますか?
「素直さ」と「正直さ」です。無理に取り繕っていては、お客様との関係は築けません。信頼関係を築くためには、正直な言葉で、誠実に向き合うことが大切だと思います。例えば商談の中で「本当にいいご縁をいただきました」「素敵なお客様に巡り会えました」といった感想を率直にお伝えすることがあります。するとお客様も笑顔になり、「そうでしょう?」と返してくださる。そこから自然な会話が広がっていくのです。他にも、落ち込んだときには素直に落ち込んだ表情を見せますし、嬉しいときには「嬉しいです」とストレートに伝えます。こうした正直な姿勢が、お客様との信頼関係につながっています。
ーお客様とのやりとりのなかで、印象に残っているエピソードを教えてください。
最も嬉しかったのは、お客様から「渡辺さんだからお願いしている」「渡辺さんがずっと担当でいてほしかった」と言っていただけたことです。異動が決まった際、3〜4社のお客様からこの言葉をかけていただきました。これらの言葉は、お客様との関係を大切にしてきた証拠だと思います。「この人に頼んで良かった」と思っていただけることが最大のモチベーションです。

ーご提案する際に、意識していることを教えてください。
意識していることは「お客様の用途を正確に把握すること」です。見た目は同じような封筒でも、中に入れるものの厚みや材質、印刷方法、発送の仕方によって、仕様は大きく変わります。例えば、DMを大量に郵送される用途の場合、郵便局で機械処理しやすい仕様を選ぶ必要があり、手作業で封入・発送される場合は、作業効率を上げられる仕様を優先した方が良いです。こうした前提条件を丁寧に確認しながら、ご提案するよう心がけています。さらに、コストと品質のバランスも重要です。「この仕様にすれば印刷コストを下げられます」「この角度を少し調整するだけで加工不良を防げます」といったように、お客様自身が気づかれていない改善点や工夫もあわせてご提案しています。そうした細かな気配りこそ、封筒営業の面白さであり、自分の役割だと感じています。
封筒業界の奥深さ、1ミリ単位の緻密な世界
ー封筒の魅力を教えてください。
封筒の魅力は「一ミリ単位の設計が求められる奥深さ」です。封筒は、日常的に手にするものですが、その裏には想像以上の緻密さが隠されています。例えば、封筒のフタの長さ。ほんの数ミリ違うだけで、開け閉めのしやすさや糊付けの強度が大きく変わるんです。他にも窓付き封筒の場合は、窓の位置が1ミリずれると宛名が正しく見えなくなり、使い物になりません。紙の厚みや質感も、印刷のしやすさや中身の透け具合に直結します。こうした目に見えない工夫が、数え切れないほどあるのが「封筒」です。つまり、封筒はただの入れ物ではなく、使う人の利便性や企業の印象を左右するもの。繊細で専門性の高い世界こそ、封筒の大きな魅力だと思います。
ーデジタル化が進む現代で、封筒の価値をどのように考えていますか?
デジタルや効率性が求められる現代ですが、だからこそ封筒にしか果たせない役割があると思います。例えばご高齢の方々にとって、電子通知は確認が難しいケースもあるでしょう。その点、封筒で届く郵便物であれば、世代を問わず誰の手にも確実に届きます。「手に取れる形で情報が届く」という安心感は、デジタルでは代えがたい価値です。「人と人とのアナログなつながり」を大切にできる封筒は、私たちの生活において必要不可欠なものだと思います。
カルチャーは素直さと誠実さ、仲間と成長しあえる環境
ー社内の雰囲気を教えてください。
日常的に相談をするなど、積極的にコミュニケーションが取れる雰囲気です。定期的な1on1ミーティングといった制度もありますが、それ以上に、些細なことでも気軽にやり取りできるのが弊社の良さだと思います。例えば、営業から戻ると「今日はこんな案件がありました」といった情報共有が自然に行われます。課題や悩みも抱え込まずに話せるため、必要以上に抱え込みません。
ー先輩からのアドバイスで、印象に残っている言葉はありますか?
「限られた企業のみが生き残る業界だからこそ、先のことを考えて仕事をするべきだ」という言葉が印象に残っています。目の前の仕事だけでなく、業界の動向や将来の変化を踏まえて、自分がどう動くべきかを常に意識しなければならないということです。この視点を持つことで、与えられた仕事をこなすのではなく、工夫して取り組もうと意識が変わりました。

ー営業活動とはいえ、チームプレイを重視するカルチャーとのこと。具体的な場面を教えてください。
個人では解決できない問題が発生した時は、部内全体で解決しようと協力しています。「その人に任せればいい」ではなく「全員の課題」として受け止めるカルチャーですね。例えば誰かがミスをした場合、その人の責任として片付けるのではなく「同じことを繰り返さないためにはどうすればいいか」をチーム全体で考えます。「誰にでも起こり得ること」と捉えて仕組みやプロセスの改善に取り組む。このマインドがあるからこそ、安心して挑戦できています。
ー今後の目標を教えてください。
社内において、中心的な役割を担える存在になりたいです。そのため、これまで以上にお客様の課題解決にしっかり向き合い、提案をより質の高いものにしていくことが必要だと思っています。お客様に「渡辺に任せれば安心だ」と言っていただけるような営業を積み重ねていくことが、自分自身の成長にもつながり、会社全体への貢献にもなると考えています。また、後輩育成にも力を注ぎ、チームとの底上げにも貢献したいです。
ー最後に、どのような人と一緒に働きたいですか?
自分や仕事に対して「正直な人」です。嘘やごまかしは一時的にその場をしのげるかもしれませんが、本人の成長を止めてしまいます。課題や失敗を隠してしまうと、本来なら改善できたはずの部分に気づけないまま時間が過ぎてしまい、本人にとっても組織にとっても大きな損失になりかねません。一方で、素直に「ここがうまくいきませんでした」「アドバイスをいただきたい」と伝えられる人であれば、周囲は必ず力になってくれます。正直さは信頼の基盤となり、結果的に大きな成果や成長につながっていくと思います。そんな方と一緒に働きたいです。
