1949年に創業し、高級塗工紙や特殊加工紙の製造・販売を手がける老舗製紙会社である五條製紙株式会社。化粧品や医薬品のパッケージ、CDやDVDのジャケット、店頭のディスプレイやPOP、カタログ、カードなど、さまざまな用途で使われる五條製紙の紙は、その光沢や質感、印刷の美しさに定評があります。さらに、製造から加工、印刷、流通までをグループ会社が一貫して担うことで、お客様の細かなニーズに応えたワンストップサービスを実現。高付加価値の紙づくりで、多くの企業から信頼を集めています。
今回は、そんな五條製紙に2019年新卒で入社し、以来製造部技術課の一員として特殊紙の新規開発・改良・品質管理に携わってきた工藤が、特殊紙に携わるやりがいや五條製紙での働き方について語りました。
ーー五條製紙に入社したきっかけを教えてください
五條製紙に入社した理由は「自分もこんな綺麗な紙を作ってみたい!」この一点につきますが、就職活動当初から製紙業界で働くことを志していたわけではありませんでした。私の大学院での研究は、建築用木材を接着するための接着剤の開発でした。紙とは少し分野が異なりますが、素材にじっくり向き合うという点では共通する部分があったため、製紙業界も進路の一つとして考えていました。
就職活動を通して五條製紙と出会ったのは、大学主催の研究発表会でした。企業が学生のブースを回って、立ち話で交流するスタイルのイベントだったんですが、そのときに声をかけてくださった人事の方から名刺を受け取ったのがきっかけです。その名刺がホログラムで加工されていて、まるで化粧品のパッケージみたいに虹色に輝いていて。“こんな綺麗な紙があるんだ”と、思わず心をつかまれてしまいました。そこから一気に興味が湧いて、詳しくお話を伺ったんです。

第一印象の時点で好印象を持っていましたし、綺麗で特別感のある紙を作ってみたいという気持ちがどんどん大きくなっていきました。他社も検討はしていましたが、コピー用紙や段ボールなど大量生産の紙が中心で、正直あまり惹かれず。最終的に選考に進んだのは五條製紙だけでした。
選考中、私の志望度をさらに上げたのが一次面接のときの工場見学です。案内してくれた先輩社員が偶然にも私と同じ大学の出身の方でした。年齢もあまり離れていなくて、社員としてというより“大学の先輩”として接してくれるような温かさがあって、仕事の1日の流れや休みの取りやすさなど、リアルな話を包み隠さず話してくださったんです。“この人が先輩になるなら安心できる”と素直に思いましたし、働く姿を実際に見られたのも大きかったです。そこで「ここで働きたい」という気持ちが固まりました。

ーー入社後は日々どのような業務に携わっていますか?
入社以来7年間ずっと製造部の技術課で働いています。最初は製造された紙の品質を確認する基礎的な実験から始まりましたが、徐々に担当領域が広がり、今では新製品の開発、既存品の改良、品質管理、分析業務まで幅広く携わるようになりました。
新製品のリリースは定期化されているわけではないものの、2年に1回作る見本帳の更新タイミングでいくつか新製品が加わるため、その分開発テーマも増えていきます。営業からの要望を受けて新たな紙をつくることもあれば、私自身が展示会で見つけた素材を使って調合し、営業やデザイナーに提案することもあります。ただいずれも短期で終わるものは少なく、ほとんどが数ヶ月から年単位で進むプロジェクトばかりです。
そんな技術課の仕事は、まず朝に工場をひと回りするところから始まります。各マシンの生産状況を確認しながら、現場のスタッフに品質についての気づきや課題をヒアリングします。そこで得た情報を営業に共有したり、改良のヒントにしたりするのが最初の大事な仕事です。その後は実験室に戻り、開発中のサンプルの試験や品質評価、データの整理などを進めていきます。並行している案件は常に5件以上、短期テーマを含めればさらに多く、複数の開発を同時進行で進めています。
特殊紙の開発で特に難しいと感じるのは、「見た目の美しさ」と「加工適性」のバランスを保つことです。ほんのわずかな設計のズレでも仕上がりのバランスが崩れてしまうことがあるので調整にはかなり神経を使います。加工性を優先すると美しさが落ち、美しさを狙いすぎると加工が難しくなる。その最適点を探すのがいつも大変ですが、それがこの仕事の面白さでもあります。いいものを作るためであれば試作品にかかるコストも厭わない。そんな会社のものづくりにかける熱い思いがあるからこそ、思いっきり紙作りを楽しめていますね。
技術課の中で女性は私だけですが、周囲の雰囲気がとても温和で、質問や相談がしやすい環境です。やりたいテーマに挑戦させてもらえますし、悩んだら上司がすぐアドバイスをくれるので、常に前向きに開発に向き合えています。大手のような大量生産中心ではなく、お客様のニーズに細かく応えられる小回りの良さがこの会社の強みで、営業やデザイナーを通じてお客様の声がしっかり届くのも働きやすさにつながっています。
自分が携わった紙が実際に店頭で使われていたり、ドラッグストアの有名ブランドのパッケージに採用されているのを目にすると、大きな達成感があります。「この製品に自分の仕事が生きているんだ」と実感できる瞬間で、やっぱりこの仕事を選んでよかったと心から思えるんです。
顧客の商品をより輝かせる特殊紙をゼロから開発
研究室を飛び出し対話を重ねた先に得た達成感とやりがい

ーーこれまで携わった仕事で印象に残っているプロジェクトはありますか?
とある大手化粧品メーカーのパッケージに使用する特殊紙を自分で開発したプロジェクトですね。お客様の要望を汲んだ特殊紙の新規開発が必要だったため、パッケージデザイナーの方との打ち合わせから営業担当と一緒に参加しました。正直、最初に伺ったイメージはとても抽象的なもので戸惑いましたが、その曖昧さをどう形にするかをお客様と一緒に考えながら、使う素材や風合い、色味などを細かく打ち合わせ、何度も試作を重ねていきました。
パッケージは商品のいわゆる「顔」でもあるためお客様も妥協できません。サンプルは何十種類も作り、その中から一つ選ばれたものをさらに改良していく作業を繰り返し、完成までには3年ほどかかりました。もちろん大変な仕事でしたが、紙の設計から携われるようなクライアントはそう多くありません。だからこそ、一から試作し、お客様と一緒に形にしていくプロセスは本当にやりがいがあるものでした。
技術職の場合、紙として出来上がったところまでしか見えず、最終製品を見る機会がないこともあります。でも、この案件は完成した商品まで見せていただけて達成感もひとしおでしたね。自分が携わった紙がパッケージとなり、化粧品売り場に並んでいるのを見ると胸がときめいて、思わずその商品を自分でも購入しました。自分の作った紙がどんな形で世の中に出ているのか、実際に手にして確認できたのは本当に嬉しかったですね。今でも大切に保管しています。
入社前は、研究職と言えば実験室にこもってデータを取る仕事というイメージが強かったのですが、実際に働いてみると、毎日工場に行って現場と話をしたり、薬品の仕入れでメーカーの方と打ち合わせをしたり、企画部と調整したり、さらにはお客様に環境に配慮した紙や特殊紙の特徴を説明する機会もあります。こうして多くの人と関わりながら、自分が手がけた紙が実際に社会で使われていく。その手触りが感じられる瞬間こそ、この仕事の一番の醍醐味だと思っています。
ーー将来の理想のキャリアについて教えてください
今後のキャリアについて明確に描いているわけではありませんが、この会社でまだまだ学びたいことがたくさんあります。たとえば、同じ製造部の中でも扱うマシンが変われば携わる製品がガラッと変わりますし、紙を作った後の印刷加工を担う部署もあります。紙そのものだけでなく、その後の加工まで理解できれば、設計段階からより最適な提案ができるようになるので、そういった領域にもいつか挑戦してみたいと思っています。
五條製紙は、私が入社前に想像していた以上に幅広い紙をつくっている会社です。自社で作っている名刺用の紙から始まり、トレーディングカード用の紙、カレンダー用紙、さらにはケーキ箱のような艶のあるパッケージ用の紙まで、とにかくラインナップが多彩なんです。用途に合わせて求められる特性もまったく違うので、それぞれに専門性をもった担当者がついています。
自分の担当領域を深めていく面白さもあれば、まだ知らない機械や製品に触れていける可能性もある。その両方があるのが、この会社で働く醍醐味だと思っています。
紙は一見すると身近でありふれた存在ですが、分野が変われば別の素材のように奥が深いんです。だからこそ、今後も新しい製品や加工方法を学びながら、自分の可能性をさらに広げたいと考えています。
ーー五條製紙で働くことを検討している方にメッセージをお願いします
今所属している技術課は、単に実験だけをやっているわけではありません。いろいろな人と柔軟に向き合いながら仕事を進めていく必要があるので、新しいものが好きで、発想を柔軟に変えながら挑戦できる人が合うと思います。逆に、「開発だけをしたい!」というように、ひとつのことに専念したい人には少し向かないかもしれません。
実は、この課には理学や物理、工学、生命科学といった多様な専攻の人たちがいます。みんな理系の考え方をベースにしながら、それぞれの知識を活かして仕事をしています。研修も理系の論理的な進め方ができるので、学校で学んだことをそのまま使うというよりは、入社してからいろんなことを吸収し、実践していくイメージですね。
この会社は、特殊紙の分野で日本でも最高級の紙を作っていると自負しています。ハイレベルな製品を生み出す仕事だからこそ、やりがいも大きく、非常に魅力的な仕事です。これから求職活動をされる方には、ぜひ一度話を聞きに来てほしいと思っています。







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