建物や工場の電気を安全に使える状態に保つのが電気設備の仕事。工事の流れ、扱う設備(強電・弱電、キュービクル等)、必要資格、消防法などの点検ルールまで、未経験の人が最初に押さえるポイントを整理します。
電気設備とは まず押さえる基礎知識

電気設備は、電気を受けて配り、使い、守るための仕組み全体を指します。まずは定義と範囲を押さえ、代表例で全体像をつかむと、仕事内容や必要資格が整理しやすくなるでしょう。
電気設備の定義と対象範囲
電気設備は、電源を受ける設備、配線、制御、保護、そして照明や動力などの負荷機器までを含む総称。法律上は電気工作物という考え方が基礎にあり、住宅や店舗の屋内配線などの一般用電気工作物、ビルや工場の需要設備などの自家用電気工作物に大別されます。
さらに電気工事士法は、電気工事の欠陥による災害防止を目的に、工事に従事する人の資格と義務を定めています。
電気設備の一覧 代表例で全体像をつかむ
受電側は引込設備、分電盤や配電盤、ブレーカーなどがあり、建物内は幹線や分岐配線、コンセント、照明器具、動力用の配線やモーター制御などが続きます。
保護の面では接地、漏電遮断器、避雷器、保護継電器などが重要です。加えて、受変電設備(高圧を低圧に下げる設備)や非常用電源、設備監視の計測機器も電気設備の一部として扱われます。
強電と弱電の違い 仕事の範囲が変わる
強電は電気エネルギーを動力や照明として使う領域で、分電盤から照明・コンセント・動力までが中心です。弱電は通信や制御などの信号を扱う領域で、LAN、インターホン、入退室管理、防犯カメラ、火災報知の信号系などが典型例。
現場では強電と弱電が混在し、配線ルートや干渉防止の考え方も変わります。どちらが主戦場の会社かで、覚える機器や図面の読み方が大きく変わる点がポイントです。
電気設備工事の仕事内容 現場でやること

電気設備工事は、図面どおりに電気を通し、規定どおりに安全を確認して引き渡す仕事。新設・改修・点検で目的が違うため、現場での動き方をイメージできるように整理します。
工事の流れ 新設改修点検の違い
新設工事は、墨出しから配管配線、盤や機器の据付、結線、試験、引き渡しまでを段階的に進めます。改修工事は、既存設備の停止条件や停電計画が絡み、夜間や短時間で切替える段取り力が重要になるでしょう。
点検は、劣化や異常の早期発見が目的で、記録を残し次回の改善につなげる色が濃いです。つまり新設は作る、改修は止めずに変える、点検は事故を起こさないために守る、という違いで捉えると理解しやすくなります。
よくある作業 配線配管盤取り付け試験
現場で多いのは、電線管やケーブルラックの施工、ケーブルの敷設、盤への結線、照明器具やコンセントの取り付けです。盤は分電盤や動力盤、制御盤などがあり、どれも結線ミスが事故に直結するため、線番や端子台の確認が必須。
最後は絶縁抵抗などの電気的な試験、動作確認、必要に応じて負荷運転まで行い、図面と現物と結果が一致する状態で引き渡します。
安全管理とルール 現場で特に重視されること
電気は見えない危険があるため、安全は技能と同じくらい評価されます。具体的には、停電作業の手順、ロックアウト・タグアウトの考え方、検電の徹底、保護具の着用、活線近接のルール遵守が基本です。
加えて、感電や火災を防ぐため、接地や保護装置の要件を満たしているかを常に意識します。電気工事士法も災害防止を目的にしているので、資格者がルールの中心に立つ現場ほど安全文化が根づきやすいでしょう。
キュービクルと受変電設備をわかりやすく整理

キュービクルや受変電設備は、電気設備の中でも高圧を扱う領域で、未経験が最初につまずきやすい分野です。役割と構成機器を、現場で覚えやすい形にして説明します。
キュービクルとは 役割と設置される建物
キュービクルは、高圧受電に必要な機器を金属製の箱にまとめた設備で、施設で使える電圧に変換する受変電の心臓部。主に工場、オフィスビル、商業施設、学校など、電力使用量が大きい建物で見かけます。箱の中にまとめることで、機器の保護や安全性を確保しやすく、点検もしやすいのが特徴です。
受変電設備の基本機器 何を扱うのか
受変電設備は、受電して守り、必要な電圧に下げ、配電する仕組みです。基本機器は、変圧器、遮断器や開閉器、保護継電器、計器類、避雷器、接地などで構成されます。
専門用語で遮断器は、事故電流など危険な電流を自動で遮断する装置のことです。この機能により、短絡や地絡が起きても被害を最小限に抑えやすくなります。
未経験がつまずきやすいポイントと覚え方
つまずきやすいのは、単線結線図や結線図の読み方、機器名の多さ、そして高圧特有の安全距離の感覚です。覚え方のコツは、電気の流れを一本の線として追い、受電、保護、変圧、配電の順に役割で覚えること。
現場では機器の略称が頻出するので、盤の銘板や図面の凡例を見ながら、名称と役割をセットでメモしていくと定着が早くなります。
電気設備の仕事の種類 職種別の違い

電気設備の仕事は、同じ現場でも役割が分かれます。施工、保守点検、施工管理の違いを理解すると、自分に合う働き方やキャリアの伸ばし方が見えるでしょう。
電気工事士の働き方 施工担当の特徴
施工担当は、図面どおりに手を動かし、確実に形にするのが主業務。配線や結線、機器取り付けなどの品質がそのまま安全性に直結するため、丁寧さと確認癖が強みになります。
現場では第二種電気工事士から入る人が多く、経験を積むほど、盤改造や改修切替など難しい作業も任されやすくなります。資格と実務が噛み合うほど、評価が上がりやすい職種です。
保守点検の仕事 ルーティンと緊急対応
保守点検は、設備を止めないための仕事です。月次や年次など定期点検で異常兆候を拾い、記録から劣化や負荷傾向を読み、予防保全につなげます。
一方で、停電や異常発報などの緊急対応もあり、落ち着いて切り分ける力が求められるでしょう。電気事業法に基づく保安の考え方が基礎にあるため、手順の正確さと記録の整合性が信頼に直結します。
施工管理の仕事 段取り品質安全の役割
施工管理は、工事を回す側です。工程を組み、協力会社を手配し、資材と人の段取りを整え、品質と安全を守りながら納期に収めます。現場を止められない改修では、停電計画や関係者調整が中心業務になることも多いです。
体を動かす仕事から、管理や調整に比重が移るため、コミュニケーションと書類スキルが伸びるほど強くなります。
仕事に必要な資格と未経験の始め方

電気設備の世界は資格と相性が良く、未経験でも目標が立てやすいのが特徴です。最初に狙う資格、評価されやすい追加資格、学び方の順で整理します。
最初に目指す資格 第二種電気工事士
未経験の入口として最も定番なのが第二種電気工事士です。学科試験と技能試験があり、一般用電気工作物等の保安に必要な知識と技能を問われます。
技能は配線の複線図や工具の扱いが鍵なので、候補問題を反復して手が覚える状態を作るのが近道。取得すると、現場でできる作業が増え、資格者としての信頼も得やすくなります。
実務で評価されやすい資格と講習
次のステップは、担当範囲で変わります。高圧側に寄るなら第一種電気工事士や関連講習、保守寄りなら電気主任技術者の世界観が見えてくるでしょう。
第一種には定期講習が制度として定められており、学び直しがキャリアの一部になります。さらに、消防設備と接点がある現場では、消防設備士や消防設備点検資格者が評価される場面もあります。
未経験の学び方 勉強手順と現場での吸収法
学び方は、資格学習と現場学習を同時に進めるのが効率的です。まずは第二種の参考書で電気の基礎、工具、配線記号、電気図面の入口を押さえます。
次に現場では、図面で場所を確認してから施工し、最後にテスターや絶縁計など測定結果で正しさを確かめる流れを習慣化します。分からない単語はその日のうちにメモして役割まで調べると、知識が点ではなく線でつながるでしょう。
法令と点検の基礎 消防法と関わる場面

電気設備の仕事は、法令や点検と切り離せません。消防法や電気事業法などの枠組みを、現場で困らないレベルに落とし込みます。
電気設備と法令が絡む理由を理解する
法令が絡む理由はシンプルで、電気の事故は人命や建物に直結するからです。電気工事士法は災害防止の観点で資格と義務を定め、電気事業法は電気工作物の保安を確保する枠組みを持っています。
つまり現場は、技術だけでなく、法律に基づく安全の約束事の上で動いていると理解すると、手順や書類の意味が腹落ちするでしょう。
点検や記録の重要性 仕事の信頼につながる
点検と記録は、トラブルを未然に防ぐだけでなく、何か起きたときに正しく説明できる保険にもなるのです。消防用設備等は点検報告制度があり、定期的な点検と所轄消防署への報告が求められます。
点検を誰が実施できるかの考え方もあり、一定の条件では消防設備士や消防設備点検資格者による点検が推奨されています。記録が整っている現場ほど、引き継ぎもスムーズで、担当者としての信頼が積み上がります。
現場で困らないための最低限の知識
最低限、どの設備が法定点検や報告の対象になりやすいか、停電を伴う試験がどのタイミングで入り得るか、点検表や報告書がどこに保管されているかを押さえましょう。
専門用語の保安規程は、事業者が安全確保のために定めて届け出るルールブックのことです。この機能により、点検頻度や手順が現場ごとに明確になり、属人化を防げます。
電気設備会社の選び方 仕事内容の見極め軸

同じ電気設備でも、会社によって現場の種類や成長スピードが大きく変わります。未経験ほど、最初の会社選びでつまずかない軸を持つことが重要です。
どんな現場が多いかで成長が変わる
住宅中心か、店舗改修中心か、ビルや工場の受変電まで触れるのかで、伸びるスキルが変わります。例えば弱電中心なら通信や制御に強くなり、強電中心なら配線や盤改造の力がつくでしょう。
高圧を扱う現場が多い会社は安全教育が手厚い傾向がありますが、その分、覚える機器やルールも増えます。自分が将来どこまで扱いたいかを先に決めると、現場選びがブレにくくなります。
教育体制と資格支援の有無を確認する
未経験なら、教育の仕組みがあるかが最重要です。入社後に工具の使い方や安全手順を学ぶ時間があるか、先輩の同行期間があるか、資格取得の受験料補助や講習支援があるかを確認しましょう。
第二種電気工事士は学科と技能があるため、技能練習の時間が取れる会社ほど合格しやすいです。面接では、入社後の育成ステップを具体的に質問すると、ミスマッチを減らせます。
きつい職場を避けるチェックポイント
きつい職場を避けるには、残業や夜間工事の有無だけでなく、停電作業の頻度、突発対応の多さ、応援や移動の範囲も見ます。
さらに、資格者が不足している現場は無理が出やすいので、有資格者比率や協力会社任せになっていないかも重要です。安全会議やKY活動が形だけになっていないかは、現場見学で雰囲気を見れば判断材料になります。
よくある不安と解決策 向いている人の特徴

電気設備の仕事は、覚えることが多い一方で、できるようになるほど安心が増える仕事です。向き不向きの見立てと、不安を小さくする方法を具体化します。
向いている人の共通点 仕事で伸びるタイプ
向いているのは、確認を面倒がらない人、手順を守れる人、道具や配線を整理できる人です。電気は小さなミスが大事故につながるため、早さより正確さが評価されやすい傾向があります。
逆に、毎回やり方を変えたくなる人より、標準手順を守りながら改善できる人が伸びるでしょう。細かい違いに気づける人ほど、点検や改修で頼られる場面が増えます。
覚えられない不安を減らすコツ
覚えられない不安は、知識を一気に詰めるより、現場の型を作ると減ります。まずは図面で場所を確認し、次に施工し、最後に測定で裏取りする流れを毎回同じにしてみましょう。
分からない機器名は、役割、どこにあるか、何とつながるかの3点で覚えると定着が速い傾向にあります。技能は手の記憶なので、工具の扱いと結線の基本を反復し、成功体験を増やすのが近道です。
将来性とキャリア設計 収入を伸ばす考え方
将来性は、建物がある限り電気設備が必要という点で堅い領域。収入を伸ばすには、資格で担当範囲を広げる、扱える設備を高付加価値側へ寄せる、管理側へステップする、の3つが王道です。
例えば第二種で施工に入り、第一種や高圧寄りの知識を増やすと、受変電や改修の中心に立てる確率が上がります。自分は手を動かしたいのか、段取り側に行きたいのかで、伸ばすべきスキルが決まるので、考えておきましょう。
電気設備の英語表記 現場で使う基本用語

外資系の工場や仕様書では、英語表記が混ざることがあります。頻出語を押さえ、図面や仕様書で迷わない読み方のコツをまとめます。
代表用語の英語 配線盤ブレーカー接地
配線は wiring、電線は wire、ケーブルは cable、配線盤や分電盤は panel board や distribution board と書かれることがあります。
ブレーカーは circuit breaker、接地は grounding または earthing、端子台は terminal block、配管は conduit、絶縁は insulation が頻出です。
略語も多いので、図面の凡例や仕様書の定義欄を最初に見る癖をつけると混乱が減ります。
図面や仕様書で困らない読み方のコツ
英語で困る場面は、単語そのものより、要求水準の読み違いです。例えば shall は必須、should は推奨、may は許容といったニュアンスの差があります。
さらに、図面は記号と略語が中心なので、最初に legend と notes を読んで、前提条件を掴むのが安全です。分からない語はその場で訳すより、機器の写真やメーカー資料で形と役割を確認すると理解が早くなります。
よくある電気設備の仕事のQ&A

電気設備とは何ですか?
電気設備とは、建物や工場などで「電気を受ける・変える・配る・使う・守る」ために設置される機械や器具、配線などの総称です。
法令の世界では「電気工作物」という枠組みで整理され、一般家庭や小規模店舗の屋内配線などは「一般用電気工作物」、ビル・工場など規模が大きい設備は「自家用電気工作物」として扱われます。
電気設備の種類は?
「何を基準に分けるか」で分類が変わります。現場で使いやすい分け方は、①法令上の区分と、②機能(役割)による区分です。
①法令上の区分
一般用電気工作物(住宅・小規模店舗などの低圧受電の設備)と、自家用電気工作物(ビル・工場などの大規模需要設備や受変電設備を含む設備)に大別されます。
②機能(役割)による区分
受電設備(引込・開閉器など)、受変電設備(高圧を低圧へ変換する設備=キュービクル等)、配電設備(分電盤・配電盤など)、屋内配線設備(幹線・分岐・ケーブル・電線管など)、負荷設備(照明・コンセント・動力・空調用電源など)、保護設備(遮断器・保護継電器・避雷器・漏電遮断器・接地など)、監視・計測設備(計器・CT/VT等)といった具合に役割で整理すると、仕事の範囲が見えやすくなります。
電気設備大手5社は?
「電気設備(電気設備工事)の大手」は、一般に“電気設備系サブコン(設備工事会社)”の売上規模で語られることが多いです。その前提で、近年のランキング記事で頻出する代表的な大手5社は、きんでん、関電工、九電工、トーエネック、ユアテックです。
※補足:媒体によって5位前後の扱いが「住友電設」などと入れ替わることがあります(集計範囲や年度、設備工事の切り方が違うため)。上の5社は“電気設備工事の大手”として複数ソースで安定して登場します。
電気設備の構成は?
ここも「低圧中心の建物」と「高圧受電(受変電設備あり)」で構成が変わります。
低圧中心(一般的な店舗・小規模施設など)では、電力会社からの引込→メーター→主幹ブレーカー→分電盤→幹線・分岐配線→照明・コンセント・動力、という流れが基本で、事故を防ぐために接地や漏電遮断器などの保護要素が組み合わさります。
高圧受電(ビル・工場など)では、受電点から先に「受変電設備」が入り、キュービクル内に機器がまとまって配置されるのが典型です。構成要素としては、区分開閉器・断路器・遮断器・変圧器・保護継電器・制御装置・計測機器・低圧配電設備、などが基本セットとして説明されます。
電気設備の仕事を目指す人が最初にやること
最初の一歩は、第二種電気工事士の学習を開始しつつ、どの領域で働きたいかを決めることです。強電寄りか弱電寄りか、施工か保守か施工管理かで、入るべき会社も伸ばすべき知識も変わります。
電気設備の仕事は、電気を使える形に整え、安全に守り続ける専門職。強電・弱電や受変電の違いを理解し、工事の流れと安全手順を型として覚えるのが近道です。
まずは第二種電気工事士を軸に、現場の種類と教育体制で会社を選び、資格と経験で担当範囲を広げていきましょう。




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