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失敗を恐れず主体的に挑戦するから成長できる 挑戦と変革を掲げる4代目の攻めと守りの経営とは

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株式会社落合組

2025年10月22日

静岡県菊川市に根付いた企業として、1943年の創業以来土木事業・建築事業・不動産事業を展開してきた株式会社落合組。創業当初から菊川市内の公共工事を担当するなど必要な工程を全て自社で対応できるトータルサポート力と少数精鋭チームの確かな技術力で、今日まで着実に成長してきました。近年では強みとする公共工事に加えて民間の工事案件も幅広く受注。80年近く地域密着企業として培ってきたパイプがあるからこそ、菊川市に止まらず静岡県内から多数引き合いを受けています。

今回はそんな落合組の4代目として2020年に取締役に就任。若手社員の採用・育成や働く環境の整備・新設備導入など現代に併せた改革を積極的に行い、事業成長を推進している落合が、落合組入社までのキャリア、取締役としての思い、そして会社の未来について語りました。

ー落合組に入社するまでのキャリアについて教えてください

実家が代々続く会社を経営していたものの、私は次男という立場もあり、大学進学時は家業を継ぐという気持ちは全くありませんでした。むしろ自分自身の市場価値を高めたいという思いが強く、外の世界で経験を積み、自分でキャリアを築いていこうと考えていたのです。

そんな私が大学卒業後に選んだのは、老舗の食品商社でした。1社目に商社業界を選んだ理由は、自分自身が単なるメーカーの労働力としてではなく、自らが商品として付加価値を生み出せる存在」になりたいと考えたからです。メーカーやお客様の間に立ち、調整役としてコミュニケーションを図りながら新たな価値を創出できる環境で働くことで、経営に直結する経験が積めると期待していました。実際、与信管理や仕入れ・販売の調整などに携わる中で、経営の視点を磨く機会に恵まれましたね。

入社1年目の研修を終えた後、広島にある西日本支社へ配属されました。西日本支社は広島地場の問屋何社かをグループ本社がM&Aした異なる企業文化を持つ人々と協力しながら成果を出すことが求められる支社でした。中四国・山陰山陽地域を管轄し、某コンビニエンスストアの新規立ち上げや在庫管理、ドラッグストアやスーパー、地域商店との取引など、商流と物流の両方を管理する立場を任されました。責任の大きさとスピード感のある環境は当時の私には非常に厳しかったものの、自らを鍛える絶好の場になったと感じています。

約4、5年間の勤務を経て、その後家業を継ぐ決意を固めました。1943年創業の会社であり、私は4代目としてバトンを受け取る立場にあるからです。様々な事情もあり、すぐに家業に戻ってこいという声もありましたが、言語の通じない0-1の環境に昔から興味があり、オーストラリア・メルボルンを拠点に1年間限定でワーキングホリデーにいくことを決めました。よく斡旋業者を通して留学をする人もいますが、ビザから現地銀行口座開設まで情報を集めながら1から取り組みました。

現地では仕事が見つからずホームレス生活を余儀なくされるという過酷な生活をしていた時期もありましたが、その後は物流や建設、農業、南米人達と的屋で働くなど、肩書きや学歴が一切通用しない現場で働きました。むしろ現地では肌の黄色いアジア人であり、差別を受けるケースもありました。日本で当たり前とされる常識が必ずしも普遍的ではないことを痛感し、多様な価値観に触れる貴重な経験となりました。宗教や法律の違い、人種や文化の多様性に接する中で、自分の視野が大きく広がったと感じています。

ー落合組に入社後はどのような仕事に携わりましたか?

落合組には2019年に入社しました。入社直後は現場での業務に従事しながら、採用活動や営業など幅広い仕事に携わりました。例えば、当時の社内の年齢層は50代が多く、世代の偏りが組織課題の一つでした。その状況を打開するべく若手採用に力を入れるとともに、ホームページを刷新して情報発信を強化。組織に新しい風を取り込み次世代の育成にも注力したのです。当時は試行錯誤の連続でしたが、このような一つ一つ経験を積み、多角的に会社を理解することができました。

現場での業務を経験した後は、将来的にスムーズに経営に携われる状態を作るために、早い段階で役員に就任しました。しかし、当時はまだ業界経験も浅く、社内からの信頼ももちろん十分ではありませんでした。だからこそ、役員だからといって表面的に上から指示を出すのではなく、従業員と密にコミュニケーションを取り、同じ目線で課題に向き合う姿勢を大切にしてきました。現場の声に耳を傾け、本当に必要なものは何か、ともに改善策を探る。その積み重ねが信頼関係を育み、会社全体を前進させる土台になったと確信していますし、この思いはもちろん入社6年目になった今も変わっていません。

ー落合組の”強み”はどこにあると感じていますか?

当社の最大の強みは、創業以来約80年にわたり積み重ねてきた公共インフラ工事に対する実績と信頼です。特に河川工事の分野では、国土交通省が管理する菊川の整備に当初から携わってきました。天竜川や大井川、安倍川等と並ぶ河川の一つである菊川は、かつて氾濫が頻発し、地域に深刻な被害をもたらしていました。その整備を国が主導する際に当社が地域と共に中心的な役割を果たしたことが、今日に至るまで公共工事に強みを持つ大きな背景となっています。河川整備のみならず、道路や橋梁、上下水道、設備といった生活基盤に直結する工事も幅広く手掛け、地域社会の安全と発展を支えてきました。

このように公共工事を長年にわたり任せていただいているのは、当社ならではの小回りの聞くスピーディーな対応と高い技術力です。当社では現場監督一人ひとりに現場での決裁権を与えているため、その場での判断と意思決定が可能。状況変化に迅速に対応できる体制を整えています。また、少数精鋭で事業を展開しているため、民間工事の価格競争にも柔軟に対応でき、数千円の小規模案件から数十億円の大規模案件まで、幅広く対応できる点も強みと言えるポイントです。

加えて、当社は「トータルサポート」ができる体制を整えています。土地の仕入れから助成金の活用提案、造成・開発工事、外構工事、さらには建築までを一貫して対応できるため、他社に比べてコストを抑えつつ高い品質を実現できます。これは、金融業界出身者をはじめ、多様なバックグラウンドを持つ専門人材を揃え、弊社と長い付き合いの中で試行錯誤しながら築いてきた信頼のおける協力業社など、一人ひとりの能力を最大限に活かす仕組みを整えているからこそ可能になっているのです。

その結果、令和6年・7年には国交省から「工事成績優秀企業」として認定されました。菊川市内では当社のみ、県内でも数十社しか選定されていないこの認定は、長年にわたり地域に根差した取り組みと品質へのこだわりが高く評価された証だと感じています。

社員が安心して長く働ける環境と
存分に挑戦できる機会を作ることが会社の成長の鍵

ー「挑戦と変革」「誠実と信頼」「ひとの力」「地域と共に」といったVALUEは、経営のどのような点に反映されていますか?

私たちは、会社のVALUEを単なる理念として掲げるだけではなく、日々の経営や現場での取り組みにきちんと落とし込むことを大切にしています。

まずは「挑戦と変革」。これは社員の声をしっかり反映する仕組みとして形になっています。建設業はどうしてもトップダウンの体制になりがちですが、当社ではできるだけボトムアップを意識しています。私自身も社長室を設けず、経営者として距離を置くのではなく、現場や社員と距離を近く仕事をすることで、社内外のニーズと声に耳を傾け、鮮度高く、常に同じ目線でいられるようにしています。

次に「誠実と信頼」ですが、これは制度の面に強く反映されています。たとえば産後パパ育休制度を導入し、社員が安心して家族を優先できる環境を整えました。こうした取り組みは、社員にとって働きやすい土台を作るだけでなく、お客様や地域の皆様から信頼をいただくことにもつながっていると感じています。

「地域と共に」については、地域のイベントや活動を通じて体現しています。菊川市の夏祭りに出店して子どもたちのための催しを行ったり、菊川応援大使として地域の活性化に関わったりと、建設業の枠を超えて地域に密着した存在でありたいと思っています。これからは様々な地域イベントも企画していきたいと考えています。

また、人材育成にもVALUEはしっかり反映されています。資格取得については、受験費用や学校代を会社が全額負担する仕組みを設けていますし、合格した際にはお祝い金を支給しています。社員が挑戦する姿勢を目に見える形で後押ししたいと思っているからです。やる気があれば責任のある仕事を任せてもらえる環境なので、入社からまだ数年の社員が最短のスピードで管理技術者として規模の大きい現場を担当するまでに成長しています。

このように、当社のVALUEは経営理念の言葉に留まらず、制度、人材育成、地域との関わり、そして日々の経営スタイルにまで浸透しています。社員と共に歩み、地域に根差しながら、常に挑戦と変革を続ける姿勢こそが、当社の持続的な成長を支える原動力です。

ー社員の定着率も高いとお伺いしましたが、働く環境づくりのこだわりはありますか?

落合組では社員が安心して長く働ける環境づくりに力を入れています。まず、家族との時間を大切にしてほしいという想いから、日本の伝統あるえびす講の日には、和牛や国産豚肉を社員一人ひとりに配布したり、年によって土用の丑の日にはうなぎを用意するなど、日頃の感謝や季節の行事に合わせたサポートを行っています。また、福利厚生の一環として会員制リゾートの利用権や、ゴールデンウィーク前には、ボーナスとは別にリフレッシュ手当を支給するなど、日々の頑張りを目に見える形で評価しています。こうした取り組みは、社員のモチベーション向上だけでなく、家庭との両立を後押しすることにもつながっているはずです。

当社の特徴として、建設業界の中でも社員の働きやすさと定着率の高さがあります。公共工事では優秀な成績を収めた社員には社内表彰を行っています。これにより、社員が努力の成果を実感できると同時に、責任感を持って仕事に取り組む文化が育まれています。また、勤続年数も非常に長く、40年近く働き続ける社員も少なくありません。地方の建設業としては非常に高い水準で、入社後は長く安心してキャリアを積んでもらえる環境です。

ー落合組で活躍できる人材はどのような人ですか?

自ら考え行動できる人、前向きに挑戦できる人、そして失敗を恐れず改善を重ねられる人ですね。働きやすい環境作りはしっかり整えていますが、社員には仕事の面白みを感じ、挑戦を続けて欲しいと思っています。

当社では、入社時点でのスキルや経験は問いません。未経験の方でも、人物重視の採用方針のもと、自分で考え行動できる方、主体的に挑戦できる方であれば、入社後に大きく成長できる環境を用意しています。面接では志望動機だけでなく、これまでの人生や価値観、趣味や考え方などをじっくり伺い、その人の本音や意欲を尊重して採用を決定します。若手社員でも本人のやる気や資格取得状況、能力次第では早い段階から現場で重要な役割を任されるため、OJTを通じて技術だけでなく人・物・金の経営視点も身につけることができます。未経験入社数年後には、一人前の管理技術者として現場を統括し、会社の成長に責任を持つ立場になることも可能です。

会社としても社員が高いパフォーマンスを発揮するための投資は惜しみません。これまでにも、現場の社員から声が上がれば、iPad Proを一人一人に導入したり、ゲーミングPCを使って3D技術に対応できるようにしたりと、スピード感を持って実現してきました。さらに、繁忙期でない時期には、社員が資格取得に挑戦したり、新しい事業に取り組むことも支援しています。

このように、当社では「人物重視で採用し、挑戦意欲を育む」ことと「会社の成長目標に沿った経験の場を提供する」ことが密接に結びついています。入社後は、未経験からスタートしながらも、現場での実践や資格取得を通じて、経営目線を養い、会社と一緒に成長していくことができます。自分の成長が会社の成長につながり、会社の成長が自分のキャリアや報酬に直結する。こうした環境で主体的に動ける方ほど、より大きく飛躍できる環境です。