ーーこれまでのキャリアと会社設立のきっかけを教えてください
もともとは建築の竣工写真を撮影する会社に勤務していました。でアシスタントとして建築現場に関わる中で住環境への関心を持つようになり、2000年に前職へ入社。そこでシックハウス(※)対策事業に本格的に携わることになりました。当時は「シックハウス」という言葉がようやく知られ始めた頃で、工務店へ提案してもなかなか理解を得られず、社会的な認知も限定的でしたね。営業として商品をどのように提案すべきか悩んだ時もありましたが、お客様からの喜びの声を聞くたびに、「シックハウス対策商品」を取り扱う意義を感じていました。
※シックハウス問題:室内空気汚染等が原因とされ、新築やリフォームした住宅に入居した人が、目がチカチカする、喉が痛い、頭痛がする、アレルギー症状がでるなど、体調の変化を覚える問題。シックハウス症候群とも呼ばれている。(参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000155147.pdf)
独立前の話で、今でも忘れられないご家族がいます。北海道・旭川市で新築住宅を購入されたご家族は、新居に住み始めてから息子さんの咳が止まらないことに悩まれていました。病院では「シックハウス症候群」の可能性を指摘されたそうですが、建築会社に相談しても、VOC(揮発性有機化合物)の測定値は基準内とのことで、具体的な対策は講じてもらえなかったと言います。「せっかく購入した家を手放さなければならないのか」と頭を抱えていたときに、インターネットで当社の取り組みを知り、すがるような思いで製品を使用してくださいました。その結果、住環境が整い、安心して暮らせるようになったとのお声をいただきました。
一方で、従来のシックハウス対策製品には課題も感じていました。効果はあっても完全に天然成分のみで構成されているわけではなかったため、化学物質に敏感な方々にとってはわずかな成分でも不安材料となっていました。そうしたお客様の声に真正面から向き合い、より安心できる選択肢を提供したいという思いが、会社設立の大きなきっかけとなったのです。
症状に悩む方の立場に立ち、本当に寄り添える製品を届けること。それが施工分野に対する私の想いの原点であり、現在の事業の出発点でもあります。

ーー貴社で開発された“AIリキッド”の強みは何ですか?
当社が開発したシックハウス対策製品、“AIリキッド”の最大の特長は、天然由来成分のみを使用していることです。主原料は化石サンゴを微細に粉砕したもので、化学合成成分は使用していません。世の中にシックハウス対策製品は数多く存在しますが、完全に天然成分のみで構成されている製品はほとんどありません。私たちが何よりも大切にしているのは、化学物質に敏感な方や小さなお子様がいるご家庭でも、安心して使用できることです。その安心して使用いただける設計こそが、AIリキッドの根幹にあります。
さらに、使用している化石サンゴにも独自の特長があります。すべての化石サンゴが同じ性質を持つわけではありませんが、当社が採用しているものは素材特性として遠赤外線を放出するとされています。AIリキッドは遠赤外線の働きによって空間内で素材特性が発揮されると考えられ、リフレッシュ効果が期待できます。見た目は水のような透明な液体ですが、その内側には素材由来の機能性が詰まっているのです。
以前は主に建築会社が使用することが一般的でしたが、コロナ禍以降は室内環境対策への関心が一段と高まり、建築会社経由だけでなく、これから家を建てる方や賃貸住宅に住む一般の方からも直接お問い合わせをいただく機会が増えました。
会社設立以降には、大阪で新しくアパートを借りたお母様と娘さん二人暮らしのご家族からご相談がありました。アパートへの入居後まもなく、娘さんが室内環境の影響が疑われる体調の変化があったとのことで、在宅勤務にも支障が出始め不安な日々を過ごされていたそうです。そんな時当社のホームページを見て連絡をいただき、施工も検討してくださいましたが、ご予算の関係で難しい状況でした。
そこで私は、施工ではなくボトルタイプを使った簡易的な方法をご提案しました。ご自身で壁や空間にAIリキッドをスプレーしていただく形です。数日後、空間の変化を実感され、今は問題なく在宅勤務ができているというご連絡をいただきました。
そこから本格的に、施工タイプだけでなく、ご家庭でも使いやすいボトルタイプのAIリキッドも展開しました。大掛かりな施工でなくとも、適切な方法を届けることで生活を守れる。その実感は、私たちにとって何よりの励みになっています。
国内外に広がるAIリキッドの輪が新たな活用方法を生み
より幅広い課題解決の手段へと進化中

ーーAIリキッドは評価が高く、導入事例も多いとお伺いしました
AIリキッドは現在、全国で約130社との取引実績があります。工務店や建築会社を中心に導入が広がっており、着実に採用事例を積み重ねてきました。なかでも最近では、福島県で年間約200棟を手がける規模の建築会社様に、全棟標準仕様として採用していただいています。一部物件への限定使用ではなく全棟対応という形で継続導入いただいていることは、製品の安定性と信頼性を評価していただいた結果だと受け止めています。
また、用途は住宅分野にとどまりません。東京の企業様には創業当初よりAIリキッドを取り扱っていただいていましたが、その企業がベトナムに支社を設立されたことをきっかけに、海外でも活用が始まりました。ベトナムでは住宅や商業施設への施工ではなく、自動車の車内空間へ噴霧する用途でのニーズが高まっています。高温多湿な環境下では車内の空気環境への関心も強く、空間環境の維持サポートや快適性向上に加え、遠赤外線作用による空間環境への配慮が評価されています。
さらに、香川県の企業様では、同社オリジナルの冷蔵倉庫製品にAIリキッドを採用いただいています。冷蔵庫や保冷倉庫の内壁にあらかじめ吹き付けておくことで、野菜や米などの保存環境の安定化が期待されています。これは、化石サンゴが放出する遠赤外線の作用によって庫内環境が安定し、食品保存環境の維持に寄与する可能性があります。
このようにAIリキッドは、住宅の空気環境改善という枠を超え、海外市場や車両空間、さらには食品保管分野にまで活用が広がっています。
ーー会社としての今後の展望について教えてください
シックハウスという言葉自体は、ひと昔前のものだと捉える方もいらっしゃいます。しかし実際には、新築住宅やリフォーム後の住まいに入った際に体調不良を感じる方は、今も決して少なくありません。化学物質に対して敏感な体質の方はむしろ増えている印象がありますし、壁紙を張り替えた、家具を新調したといった日常的なタイミングで、「重症ではないけれど、なんとなく喉が痛い」「頭が重い気がする」といった軽微な症状を経験されるケースも多く見受けられます。そうした“少し気になる違和感”が、実は暮らしの質を下げていることもあるのです。
一方で、シックハウスで困ったときの対策や家具を新しく購入した際にスプレーするだけでできる予防策が存在すること自体、まだ十分に知られていないのが現状です。必ずしも当社製品に限らず、住環境を守るための選択肢があるという事実が、社会に広く共有されていないと感じています。
今後は、単に施工や商品を提供するだけでなく、困ったときに頼れる選択肢があるという情報そのものを届けていきたいと考えています。体調不良を我慢するのではなく、環境を整えることで改善を目指せる可能性があることを知っていただく。その気づきが一人でも多くの方の安心につながり、より健やかな住環境づくりの一助となることが、私たちの願いです。


