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2025年11月7日

人生の一部である野球をいつまでも続けたい 周囲の支えを糧に仕事と野球を両立する毎日とは

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特別養護老人ホーム佐久福寿園

昭和56年の業務開始以来、長野県佐久市に施設を構える特別養護老人ホーム佐久福寿園。四季折々で美しい自然を感じながら自分らしく居られる第二の我が家であることを目指し、完全個室のユニット型特別養護老人ホームとして利用者を迎えています。

今回は、2025年2月に入社し介護士として働きながら社会人野球チームの一員として活躍する鈴木が、自身のキャリア感や野球と仕事の両立について語りました。

野球との出会いとこれまでの活動について教えてください

野球をいつどのように始めたのかは正直覚えていません。兄が野球チームに所属していた影響もあり、物心ついた時から自然と野球に取り組んでいました。小学生の頃は地元のクラブチームに所属していました。中学に進学すると、さらに競争の厳しいクラブチームに移り、技術や体力を磨く日々を送りました。高校では部活動として本格的に野球に打ち込み、甲子園出場を目指して練習を重ねる毎日でした。

高校時代に惜しくも甲子園出場が叶わず、次なる目標を全日本選手権で優勝することに設定し大学に進学することになりました。野球部に所属し野球に打ち込む毎日を送っていましたが、大学時代は決して順調なことばかりではありませんでした。監督との関係がうまくいかず、途中で野球を辞めようと考えたこともあったんです。このまま続けても意味があるのだろうか、と悩んでいた時、チームメイトから言われた「辞めたら絶対に後悔する」という言葉が私を引き止めてくれました。あの瞬間に踏みとどまったことは、私にとって大きな転機だったと思います。

そんな中、大学4年生の時、全日本選手権に出場するチャンスが巡ってきました。夢の東京ドームという大舞台で試合ができるまたとない機会でしたが、コロナを患ってしまい出場が叶わず。ここまで続けてきて、あと一歩で夢の舞台に立てなかった、その時の悔しさは今でも忘れられません。

実は当初、社会人になってまで野球を続けようとは考えていませんでした。ただ、東京ドームで試合ができなかったという悔しい経験が、私の気持ちを大きく変えてくれたんです。「都市対抗野球で東京ドームに立ちたい」という気持ちが今日まで野球を続ける私の原動力になっています。


特別養護老人ホーム佐久福寿園に入社する前はどのような環境で仕事と野球を両立させていましたか?

前職では、デイサービスで介護士として1年8ヶ月ほど勤務しながら、並行して野球の活動を続けていました。勤務形態は平日に1日休みがあり、水曜日は固定で毎週野球の練習をしていました。土曜日は出社扱いの野球活動があり、日曜日は仕事自体は休みでしたが、ほとんど毎回練習試合が組まれていました。結果的に、平日・週末を問わず、常に仕事と野球の両立を意識しながら生活を送っていたことになります。

当時所属していたチームは千葉に拠点を置いており、関東のクラブチームの中でも強豪と言われるほどの存在でした。監督もコーチも非常に指導熱心で、練習メニューも決して楽ではありません。むしろハードな環境であり、選手としての覚悟が問われるようなチームでした。

野球と仕事の毎日を辛いと感じたことはありませんでしたが、練習環境には大きな課題感を抱いていました。というのも、チームの練習場までは私の住んでいた場所から車で片道1時間半ほどの場所にあったため、仕事が終わった後に練習を行うことは不可能。公園などを利用して自主練習をすることはできましたが、やはりチーム全体で質の高い練習を積むには限界があります。自分自身が目指していたレベルや、東京ドームでプレーしたいという強い思いを考えると、当時の練習環境では満足のいく取り組みができていないと感じていました。

とはいえ、平日に休みをいただける勤務体系そのものは私にとって大きな支えでもありましたし、職場の方も野球への挑戦を応援してくださっていたので、仕事と野球の両立は大変ではありましたが、「野球を続けたい」「もっと高いレベルで挑戦したい」という気持ちが上回っていましたね。

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当時の会社から佐久福寿園に転職を決めたきっかけは何でしたか?

大きな転機となったのは、前のチームで監督が辞めることになった時です。当時掲げていた目標をすべて達成できていたわけではありませんでしたが、監督に対する信頼が厚かったからこそ別の監督のもとで続けるよりは、このタイミングで区切りをつけてもいいのではないかと考え、野球を辞めようとしていました。

しかし、そこに新たなご縁が生まれました。現在所属しているチームのマネージャーが、私に声をかけてくれたのです。その方は私が中学時代に所属していたクラブチームの先輩であり、大学でも同じリーグでプレーしていた間柄でした。ずっと親交があったこともあり、野球を辞める意向を伝えた際に「一度うちのチームでやってみないか」と誘っていただいたのです。最初は正直乗り気ではありませんでしたが、練習だけでも参加してみると良いという言葉をいただき体験的に練習へ参加してみることに。そこで感じたのは、「このチームならもう一度野球を続けたい」という直感でした。

現在のチームは、以前所属していたチームと比べれば戦力面でやや劣る部分があるのは事実です。しかし、その分チーム全体で成長していける余地が大きく、自分の力をより直接的に還元できると感じています。そして何よりも、マネージャーとの信頼関係が大きな原動力になっています。東京にいた頃から週に2回ほど一緒に食事に行き、野球について語り合うことも多くありました。プレーに対する考え方やチームづくりの方向性などで意見が一致する部分が多く、「この人を勝たせたい」という気持ちが強く芽生えたのです。その想いが、今も私をグラウンドに立たせ続けています。

そして転職にあたり、全く別の業種に挑戦する選択肢もありましたが、野球と両立することを考えた時、未経験の仕事でゼロから覚えていくよりも、自分の経験を活かせる仕事を選んだ方が良いと判断し、今のキャリアを選択しました。

長野への移住・そして転職に不安はありましたか?

実際のところ不安は全くありませんでした。もちろん転職して生活環境は大きく変わった部分もあります。例えば、地元の埼玉ではほとんど雪が積もりませんが、長野の冬は雪かきが必須。これまで雪かきをした経験がほとんどなかった私にとって、1時間以上雪かきをするのは新鮮な体験でした。また、人生で初めて雪が降る中で試合をしたのも長野に来てからです。寒さで体が思うように動かないこともありましたが、それすらも新しい野球人生の一部として前向きに楽しめています。

現在の仕事はデイサービスでの介護業務です。朝の送迎から始まり、利用者の方をお風呂に入れたり、食事前の体操を一緒に行ったり、食事の介助やレクリエーションのお手伝いもします。ゲームを利用者の方と楽しんだり、夕方には再び送迎に出たりと、一日を通して利用者の生活に密接に関わります。勤務時間は朝8時から夕方5時まで。その後はすぐに野球の練習に向かいます。平日はほぼ毎日、夕方6時前から夜9時半まで室内練習場で練習を行い、その後はジムに寄って体を鍛えることもあります。帰宅は深夜11時から12時になることも多いですが、土日も朝8時から夕方5時頃まで練習に集中しています。基本的には「仕事をしているか、野球をしているか」のどちらかで日々を過ごしています。

転職をして良かったと実感するのは、職場の雰囲気がとても明るく前向きなこと。特にありがたいのは、野球を優先させてもらえる環境が整っていることです。仕事で分からないことがあっても「大丈夫、大丈夫」と支えてくれる雰囲気があります。自分自身では至らない点を感じても、周囲がフォローしてくれるため、前向きに仕事に取り組むことができます。さらに、終業時間の5時になると野球の練習にすぐに迎えるように声をかけて業務を引き継いでくれるなど、野球との両立を後押ししてくれる体制が整っています。

こうした環境の中で、私は「仕事」と「野球」という二つの軸を大切にしながら日々を過ごしています。慣れない土地での生活や厳しい練習スケジュールもありますが、支えてくれる人たちや職場の理解があるからこそ、挑戦を続けられているのだと実感しています。

転職前と転職後で仕事のやりがいや野球への向き合い方に変化はありますか?

転職して働く環境は大きく変わりました。前職のデイサービスでは1日に30〜40人ほどの利用者がいらっしゃったため、その分どうしても一人ひとりにじっくり向き合う時間が限られてしまい、流れ作業のようになってしまうこともありました。しかし今の職場では、1日の利用者が15人前後と少人数です。そのため、一人ひとりにしっかりと関わることができ、以前よりも利用者様に深くコミットできるようになりました。「どうしたら歩行がうまくいくかな?」「この方にはどんな声掛けがいいかな?」と、目の前の人に合わせたサポートを考えながら仕事に取り組むことができています。その積み重ねが自分のやりがいにも直結していて、転職して本当に良かったと感じています。

野球においても環境の変化が大きな影響を与えています。前のチームでは途中出場が多く、試合の流れの中で短時間のプレーに集中する立場でした。しかし今のチームではスタメンで出場できるようになり、試合開始から最後までチームを引っ張る立場に変わりました。これまでとは違った責任感や緊張感を背負うようになりましたが、それが自分の成長にも繋がっています。毎試合の重みやプレッシャーを実感しつつ、その中で自分をどう表現するかを追求できているのは、大きなやりがいです。

私にとって野球は単なる趣味ではなく、もはや生活の一部になっています。日々の生活リズムの中心に野球があることで、仕事にも自然と張り合いが生まれます。練習や試合を続ける中で、チームメイトや職場の方々に支えられていることを実感し、「この環境だからこそ挑戦を続けられている」と思います。今の目標は都市対抗やクラブ選手権といった大舞台で結果を残すことですが、その過程を楽しみながら積み重ねていきたいです。そして、体が動く限りはずっと野球を続けていくつもりです。

これからも仕事と野球の両立を意識しつつ、一つひとつの経験を自分の糧にしていきたいですね。